水洗いでは落とし切れていなかった、雑菌や“虫”も除去
野菜は冷たい水で洗うのが常識だと思っていたが、なぜ50度洗いで“しなしなキャベツ”が蘇るのか?
「50度洗いをすると、湯の温度によって植物の表面にある気孔が開き、細胞に水分が吸収されるので、みずみずしさが復活するんです」
そう教えてくれたのは、管理栄養士の森下久美子さん。冷蔵庫でゾンビ化していく野菜を見て見ぬフリするのは、主婦として胸が痛むもの。
せん切りキャベツのほかにもしなびやすい野菜に「50度洗い」は使えるのか? 聞いてみると、
「50度洗いといえば葉もの野菜が定番ですが、例えばきゅうりやなすも、しなびかけた状態からピンと皮が張った状態に戻りますよ」(森下さん、以下同)
確かに、きゅうりはうっかりしていると水分が抜けてしまいがち。あれがパリッと生き返って、フレッシュな状態に蘇るなら、もう泣く泣く捨てることもない。
それではもやしはどうだろう。安くてヘルシー、節約食材の代表選手だが、足が早いことでも代表格だ。
「もやしやカイワレなどももちろん復活できますよ。ただし野菜によって洗う時間が変わるので、もやしは2〜3分、カイワレは20〜30秒と、大きさや皮の厚みなどによって調節が必要です」
しかももやし独特の“臭み”もとれるというから、一石二鳥。
「野菜の種類によりますが、臭みやえぐみのほか、水洗いでは落ちにくい汚れや虫、雑菌も落とせます。ただし温度が高すぎても低すぎてもダメ。48~52度なら許容範囲ですが、60度を超えると加熱しすぎて火が通ってしまいますし、逆に43度以下のぬるま湯だと菌が繁殖してしまいます」
今まで水洗いのみで、虫や雑菌を落とせていなかったのかと考えると、逆に恐怖を感じるが……。
「湯につけて浮かぶ野菜は重しなどで全体が浸かるようにしましょう。また、熱湯を使うときは取り扱いに注意。私は給湯器の湯温を60度に設定し、そのお湯をボウルに張って50度くらいに下がったところで使っています」