無防備だから怖い「ノーマスクタイム」
ヒヤッとした瞬間として最も多くの声があがったのが、【飲食店でほかのグループの話し声が大きいとき】(251人)。マスクをはずさざるをえない場だけに、他人のふるまいがいつも以上に気になってしまう人が多いようだ。
「食事が終わってもマスクをつけずにおしゃべりで盛り上がっているグループがいると、怖いなと思います」(49歳・女性/東京都)
「ホテルのバイキング形式の朝食時、近くに座っていた子どもたちが大声で騒いでいた。飛沫感染が怖いので別の席に移りました」(58歳・女性/広島県)
黙食が推奨されるなか、飲食店以外でも食事のシーンにリスクを感じる人は増えており、8位には【職場や学校でそばにいる人が食事をしているとき】(71人)が挙がった。
「パーテーションはあるものの、昼休みなどにお弁当を食べながら話しかけられたりすると対応に困ってしまう」(31歳・女性/大阪府)
「2月頭に理化学研究所からスーパーコンピューターを用いた飛沫感染のシミュレーションデータが改めて出されたのですが、感染者がマスクをせず対面50cm以内に15分以上いた場合、ほぼ100%感染するという結果が出ています。1席分の間隔を空けて座った場合には、感染リスクを大幅に抑えられるということです。
パーテーションを設置したり、換気を徹底したりと、お店の努力で感染のリスクは多少抑えられますが、近い距離にマスクをしていない人がいる状況が長時間続くことはやはりリスクが高いといえます。食事以外はきちんとマスクをして、大騒ぎしないことが大事です」(土屋先生、以下同)
2位の【人がマスクを下げて話しかけてきたとき】(248人)や、7位の【ノーマスクの人とすれ違ったとき】(132人)など、マスクをはずす人に対する非難の声も根強い。
「接客をしているとき、声が通るようにするためか、わざわざマスクを下げて話しかけてくるお客さんがいる」(52歳・男性/大阪府)
「マスクなしで息を切らしてジョギングしている人と道ですれ違うとき。息も荒く、飛沫が飛んできそうで嫌だ」(44歳・女性/神奈川県)
「職場の人が電話をするときにわざわざマスクをはずしているのが理解できない」(38歳・男性/滋賀県)
相手の「うっかりノーマスク」にヒヤッとするケースも。
「すれ違う程度なら感染リスクはそこまで高くはなりませんが、やはりマスクをつけていない人がいると心配ですよね。もちろんマスクは感染対策として有効で、マスクをしていないときに吐き出す飛沫の量を100%とすると、不織布マスクをつけている場合は20%、布マスクは30%、ウレタン製マスクだと50%程度まで周囲への飛沫を減らせます。また吸い込むときにおいては、マスクをしないで吸い込む飛沫の量を100%とすると、不織布マスクなら30%まで減らせます」
やはり不織布マスクをきちんとつけることが大切だ。
「3つの密」の感染リスクが知れ渡ったなか、3位【満員電車で大きな声で話す人がいたとき】(229人)、4位【エレベーター内で会話をする人がいるとき】(210人)と避けようのない密な場面にヒヤッとする人はやはり多い。
「満員の電車内で咳やくしゃみをしている人がいると、マスクをつけていても怖い。逃げ場がなく不安になる」(63歳・女性/東京都)
「エレベーターで会話をしている人と一緒になってしまうと、つい息を止めてしまう」(69歳・男性/東京都)
「日本産業衛生学会の調べでは、エレベーターの使用は換気もされ短時間であるため、マスクを着用し会話をしなければそこまで感染リスクは高くならないといわれています。
ただ、ボタンを触るなどの接触感染のおそれもありますし、密な空間への心理的な不安も。電車についても、換気を徹底している車両は多いですが、やはり密な状況だと感染リスクは高まります。きちんとマスクを着用して、基本的には会話を控えるという感染対策を利用者みんなが守ることで、公共の場の不安を軽減することも必要です」
9位には【美容院に行ったとき】(59人)という、他人と長時間接触せざるをえないシーンもあがってきた。
「スタッフの方との会話が楽しみのひとつだったけど、状況が変わった今、大丈夫かな……と思ってしまいます」(67歳・女性/福岡県)
「広さや換気の状況など環境はさまざまで一概には言えませんが、美容院も長時間、他人と密に接する場所なので、感染リスクは少なからずあります。しっかり対策しているお店が多いようですが、“感染対策としてあまりしゃべらないようにしますね”などと、お互いを気遣い合うひと言も大切ですね」