なんでも骨盤のせいにする接骨院
“痛いところに手を当てて、手当てをするのが治療”と語る高林先生。
「でも院によっては、患者さんの話を聞かず、首が痛いと言っているのに『これは背骨が原因』などと主張し、何でも自分の得意な分野に持っていこうとする先生がいる。自分の得意じゃない分野については患者さんの声を無視するんです。これはアウト!」
また、痛みから緊急で来院している患者に対して『3週間後にもう1回来て』といった対応をする院も。
「患者さんの声がまったく聞けない。それは、治療院側の経験不足です。あと接骨院で多いのが『骨盤・背骨ずれずれ営業』。腰痛も肩こりも、なんでもかんでもそれを理由にしてしまう(笑)」
骨盤矯正は女性誌でも度々、その効果が特集されているが、疑問視する声も多い。
「骨盤矯正ブームのころ“自分は骨盤がずれている”と主張する患者さんが急に増えました。実際に身体に触ってみると別にずれていない。実際は、腰の痛みを和らげようと無意識に側屈(身体を左または右に曲げること)する姿勢になっているだけ。なのに“骨盤のずれ”をあおる治療院が多かったから、その弊害です」
また施術で骨を盛大に鳴らす治療も流行った。パフォーマンスとして行う治療院も少なくない。
「音を鳴らすと、施術側は“やっている”感が出せる。院によっては、待っている患者さんの前に施術台を置き、ステージのようにしている。もし骨がずれていたなら、一発で治るはずなのに、なぜ通わせるのか疑問です」
見せ技は金儲けのため?
「“あの患者はお金があるな”と思われると、個室に連れていかれてVIP待遇が始まる院もある。オソロシイ話です」
最近、消費生活センターが注意喚起しているのが、治療院で回数券を購入させられたが、解約や返金に応じてもらえないというトラブルだ。
埼玉県の消費生活支援センターに寄せられたのは“骨盤が歪んでいるため、骨盤矯正とインナートレーニングに定期的に通う必要がある”と言われ、「96回の施術、計68万円分の治療が45万円になる回数券」を購入したものの、症状が悪化してしまった事例だ。