流行りのおもちゃは購入前に安全確認を
2016年末に爆発的に流行したハンドスピナー。指でボールベアリングを挟み、羽根を回転させて遊ぶ、ごくシンプルなおもちゃだ。ところがこれもまた、国内外で数多くの事故が報告されている。
回転中にはずれた金属部品の誤飲、回転したまま飛んだハンドスピナーによるケガ、角膜損傷。ボールベアリング部から指が抜けなくなったことによる手術。指にはまったベアリングの切断は容易ではなく、抜けるまでの痛みも激しい。
2018年3月には、国民生活センターがハンドスピナーの部品の誤飲に関する注意喚起をした。通販で購入できる「6000円までの価格帯の90銘柄」を調査対象とした結果、いずれのハンドスピナーにも、日本玩具協会が付与するSTマーク(玩具安全マーク)がなかった。
STマークとは、1971年に日本の玩具業界が策定したもので、14歳までの玩具を対象に「先端がとがっていないか」「誤飲する大きさではないか」「燃えやすい材質を使っていないか」「鉛や水銀などの有害物質を使っていないか」などの検査項目を設け安全性を確認したものだ。
日本で流通するおもちゃの7割に、このSTマークが付けられているが、マークなしの玩具もある。
例えば、カプセルに圧縮したスポンジが入っていて、水につけると大きくなって出てくる玩具、カプセルスポンジ。100円ショップなどでよく売られているが、これも2018年に大事故が起きている。
入浴中の4歳女児の膣内にスポンジが入り、何か月も続く不正出血の後、MRI検査によって事実が判明したケースだ。この玩具はX線に写りにくいため、恐竜型スポンジは女児の体内に4か月以上も入ったまま。最終的に全身麻酔で摘出する大手術になった。
水で膨らむ玩具では、高吸水性樹脂ボールの誤飲事故も数件報告されている。生後11か月の幼児が直径3センチの樹脂ボールを飲み込み、腸閉塞を起こした結果、開腹手術を受けたケースも(いずれも国民生活センターによる事故事例)。
お祭りのおもちゃも危険だらけ
祭りや縁日に孫を連れていき、ねだられるままに出店のおもちゃを買い与える、一見、微笑ましい風景だ。だが、その行為が、後々可愛い孫を危険にさらすとしたら……?
消費者庁と国民生活センターが連携して実施する事故情報データバンクには、縁日のおもちゃについて数多くの危険な事例が寄せられている。
「お祭りでもらった棒状の発光玩具を曲げて遊んでいるときに液漏れ。中の液体が顔にはねた」(3歳)
「電球の形をした光る容器に入った炭酸飲料を購入。子どもが飲んだ後、容器底部のライトに使用されているものと同じボタン電池が容器内に混入していたことに気づき、心配になった」(4歳)
「お祭りで購入したピカピカ光るカチューシャのボタン電池を誤飲した」(1歳)
棒状の発光玩具(ケミカルライト)の中の液体、フタル酸エステルは刺激性が強く、皮膚につくと炎症を起こす。目に入るとかゆみと涙が止まらなくなり、角膜炎を起こすことも。飲み込んだ場合には、呼吸困難を起こすおそれもある。付着したらすぐに洗い流すなどの対処が必要だ。
ボタン電池は粘膜に化学やけどを起こし、食道や胃の壁を傷つける危険がある。誤飲に気づいたら、ただちに病院に連れていくなど、あわてず行動したい。
「娘に怒られた後、おもちゃを買う前に、注意書きなどをよく読むようになりました。欲しがるからって安易にあげちゃ駄目なんですね」
冒頭の60代の女性はそう語る。
可愛い孫を守れるのは、玩具の安全を見極めるしっかりした目だ。
<取材・文/ガンガーラ田津美>