指先・手首・肩・首を冷やさない工夫も
では、この神経マッサージと併せて、日常生活で気をつけたいこととは?
「指先だけでなく、手首から肩、首筋までを冷やさないこと。このラインは神経でつながっていますから、普段から温める工夫をするとよいでしょう」
富永先生がおすすめするのは、首筋を保温するネックウォーマー。手首の保温には、アームウォーマー(指先だけ出せる手袋)がよい。
「指先には神経が集中しているので、指先を手袋で覆うと負担に感じることがあります。でも指なしなら長時間装着してもラク。就寝中にはめておくと、翌日の痛みが軽くなるという方もいます」
アームウォーマーだと仕事に差し障るなら、スポーツ用のリストバンドでもよい。
痛みのない暮らしをセルフケアで取り戻す
一般に手を酷使する人はヘバーデン結節になりやすいとされる。また、閉経後の女性ホルモンの減少や遺伝が影響する可能性も考えられている。
「確かにその傾向はあります。スマホを片手で持って親指でスクロールするとか、現代ならではの指の負担も心配です。でも一方で、閉経前でもなる人はなるし、手を酷使する人みんなが発症するわけではない。大切なのは、原因がなんであれ、仕事でも趣味でも自分らしい生活をあきらめることなく、今ある痛みを改善することです」
さらに富永先生は、「人が想像する以上に、指の変形は女性にとって大きなコンプレックスになる」と強調する。
手指は常に自分の視界に入ってくる。節くれだった指を見るたびに気分が落ち込んだり、人に見られないように神経を使ってしまう。そんなつらさを、医師にもまわりにも理解してもらえず、人知れず悩みを深くしている人は多いという。
「日常的な痛みや気分の落ち込みは、生活の質、そして人生の質にも影響します。にもかかわらず、メンタルの問題については、現在の医療ではまだまだ軽視されがちです。どうか悩みを我慢せず、有効なセルフケア法があることを、もっと多くの方に知っていただきたいと思います」
指の変形性関節症は放置すると進行する!
初期:指の第一関節に腫れや違和感が
ヘバーデン結節の初期には第一関節が赤く腫れたり、じんじんと違和感を感じる。
中期:指先の痛みや変形が気になり始める
指の第一関節に力を入れると痛んだり、手をぎゅっと強く握れないなどの症状に加え、腫れや変形が進む。
後期:指がひどく変形し少しの刺激で痛みが
関節が節くれだったり、曲がるように変形。わずかな刺激で痛みが走り、寝ていても痛むようになることも。
第二関節の変形性関節症にも10秒神経マッサージを
同じ症状は指の第二関節に発症することもある。これは「ブシャール結節」と呼ばれるが、場所が異なるだけで症状はヘバーデン結節と変わらない。そのため同じ要領で第二関節を刺激すれば、改善効果が期待できる。
<取材・文/志賀桂子>