肩や二の腕が痛い→肺がん

 ひょっとして四十肩? それとも筋肉痛? 肩や二の腕が痛いとき、そう決めつけるのは、ちょっと待って!

「肺にできたがんがリンパ節に転移していくと、隣にある神経を圧迫することがよくあります。すると肩や二の腕に痛みが出るんです。のどから胸にかけて通っている反回神経が圧迫されると、カラオケで歌いすぎたときのようにしわがれた声になる“声枯れ”が起きることもあります」(秋津さん)

 とはいえ肩や二の腕が痛かったら、普通は整形外科を受診するもの。肺がんを見つけることができるのだろうか?

「最初に受診するのが整形外科なのは致しかたありません。ただ、そこで治療しても痛みが治まらなかったら、肺がんの可能性も考えたほうがいいでしょう。肺がんは進行すると咳や微熱などの症状が現れますが、初期には自覚しにくい。意外なサインを見逃さないことが重要です」(植田さん)

おならの回数が減った→大腸がん

 できるだけ人前で出すのは避けたいところ。でも、あまりにもおならの回数が少なかったら要注意!

「食事と一緒に取り込まれた空気や消化中に発生したガスは、おならとなって体外に排出されます。プッと出した音を自覚できるものから、そうでないものも含めて、人間は1日平均10~20回、おならをするといわれているんです。

 ところが、大腸にがんやポリープができて、それらが大きくなると通過障害を起こして、おならが出にくくなったり便秘がちになったりします」

 と、植田さん。

 おならの回数が減るだけでなく、おなかが張って苦しかったり、便秘をこじらせたときのような腹痛を伴うケースも多いそう。

「ほかには便秘と下痢を繰り返したりする症状もよく見られます。がんの中でも、大腸がんは女性の死因のトップ。気になる人は消化器内科や消化器外科の受診をおすすめします」

おならの数が増えた→潰瘍性大腸炎

 おならの回数が増えた場合も、意外な病魔が潜んでいる。秋津さんによると、

「おならの回数は、前述した大腸がんやポリープで起きる通過障害のほか、腸内環境によっても変わってきます。腸内環境が悪化して起こる病気のひとつに潰瘍性大腸炎があります。腸が炎症を起こして出血し、潰瘍ができたり、ただれて膨れ上がったりする難病です。

 この病気になるとにおいの成分である硫化水素が発生しやすくなって、おならの回数が増えたりします。大腸が出血した場合は、より臭くなるなどの変化がみられることもあります」

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 安倍晋三元首相の持病として知られるようになったこの病気、はっきりとした原因は依然わかっていない。

「ストレスが影響するとみられています。治療は対症療法になりますが、最近は分子標的薬をはじめ薬の開発が進み、症状をかなり抑えられるようになりました」(秋津さん)