お医者さんは薬を自分で処方できるから、市販薬とは縁が薄いイメージ。だが、忙しいときにサッと買える手軽さは、やはり重宝なんだとか。薬のウラもオモテも知っている専門家が日頃「頼りにしている」薬は何か。
メリットは手軽さ、その一方で注意点も
体調を崩しがちな季節の変わり目、病院に行くほどでもない不調のときに便利なのが、ドラッグストアで買える市販薬だ。でも、種類が多すぎて選べない……と悩む人も多い。
みやま市工藤内科・副院長の工藤あき先生は「市販薬の最大のメリットは入手のしやすさにあります」と話す。
「手軽に手に入る反面、注意点もあります。市販薬で症状が緩和されてしまい、悪性疾患の発覚が遅れる可能性があるのです。また、必ずしも市販薬は処方薬よりも副作用が出にくいわけではありません。 服用から数時間後に皮膚のかゆみや息苦しさ、じんましん、腹痛や下痢などの症状が出たら、アレルギーを発症している疑いがあります。すぐに医療機関を受診してください」
そして、つちやファミリークリニックの土屋佳奈先生は「既往歴がある場合や、複数種の薬を内服している人は飲み合わせに注意」と指摘する。
「持病によっては市販薬に記載されている通常量を内服していても命に危険が及ぶケースもあります。不安がある人は自己判断で市販薬を飲まないようにしましょう」(土屋先生)
『新黒丸a』(第3類医薬品)
食べすぎや飲みすぎにアプローチ
『新黒丸a』は飲みすぎたときの悪酔い、二日酔い時の吐き気、胸のむかつきをケアする消化胃腸薬。
「食べすぎたときや、消化吸収・排泄する力が弱まっている、と感じたときに服用しています」(赤澤先生)
【効能・効果】飲みすぎ、嘔吐、食欲不振、胃弱など
【用法・用量】成人(15歳以上)1回3丸、1日3回(食前・食間)、15歳未満は服用しない
第一三共ヘルスケア ●https://www.daiichisankyo-hc.co.jp
『ケロリン』(指定第2類医薬品)
長年愛される解熱鎮痛剤
大正14年に誕生した『ケロリン』は、常備薬としてのニーズが高い。
「ケロリンには鎮痛剤プラス生薬成分のケイヒ末が含まれ、胃の負担を和らげる効果が期待できます」(赤澤先生)
【効能・効果】頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・頭痛・発熱時の解熱など
【用法・用量】1回量を1日2回を限度として、空腹時を避けて服用。服用間隔は6時間以上
富山めぐみ製薬 ●https://www.toyamamegumi.co.jp/
婦人科・内科
金沢医科大学総合内科女性総合医療センター長 赤澤純代先生 ●東京大学第三内科にて基礎研究後、東京大学先端技術研究所を経て金沢医科大学に戻り2002年3月に石川県初の女性外来を開設。女性の生涯にわたる健康サポートを行うべく力を尽くしている。
赤澤先生の市販薬との付き合い方
「市販薬はひとつの錠剤に多種類の成分が入っているので服用しやすいのが特徴です。ドラッグストアで手軽に購入できるのもメリットですね」