「兄と一緒にやる看板がある」
とはいえ、医院から遠く離れた地域にまで看板を出すことに“効果”はあるのか。たとえば栃木県足利市の看板を見て、足利市から訪れる人は……。
「まったくゼロ。これはゼロです(笑)。ただ足利フラワーパークにある看板を見て来てくれた方はいます。6人くらい。これはペイ出来てますね。観光で東京から足利フラワーパークに行く人がいるからです。採算度外視で建てる看板もありますが、トータルで元が取れるようになっている。看板っていうのは安いんですよ。採算度外視というほどの採算じゃないんです」
現在340カ所程度。院長に「お気に入り看板はあるのか?」と聞くと、
「初めて兄と一緒にやる看板があるんですよ」
これが冒頭の看板だ。そう、実は『きぬた歯科看板』は2種類ある。ここまで話を聞いた泰和氏が院長を務める西八王子のきぬた歯科と、実兄である『きぬた久和』氏が院長を務める横浜市にあるきぬた歯科だ。経営はまったく別。横浜きぬたも大きな看板を掲げている。
“初コラボ”とのことなので兄・久和氏にも話を聞いた。弟・泰和氏も交えての取材となったが、ここまで“真剣”“命がけ”で看板論を聞いたが、兄弟が揃うとまた趣きの違うものとなり……。
(後編)に続く
“おすすめきぬた看板”3選
ファンとして、きぬた歯科看板の“マップ本”『きぬた歯科看板大全』を制作する、“大日本きぬた連盟代表”の『看板研究家 D.J.マメ』氏の“おすすめきぬた看板”3選
東京都八王子市『明神町交差点』の看板
「きぬた歯科の名を世に知らしめた1枚です。上の不動産会社が“歯が立たない”と書いたことで、人目を引くことに成功しました。国道20号・甲州街道沿い、八王子税務署近くにあります」(D.J.マメ氏)
東京都日野市「高幡交差点』の看板
「川崎街道と多摩都市モノレールが交わる箇所、ファミリーマート日野高幡店前にあります。当初は笑顔の院長の写真でしたが、ファミリーマートに阻まれた関係でデザイン変更を余儀なくされることに。結局怪訝な表情の院長が張り重ねられ、今に至ります」(D.J.マメ氏)
東京都立川市『天王橋』の看板
「立川市北西部、玉川上水にかかる橋のたもとにあります。かつては違ったデザインの看板でしたが、太陽にさらされ色あせてしまい、昨年リニューアルを実行しました。掲げられたポーズは、格闘技イベント『RIZIN』でのキャンペーンに伴い撮影されたものですが、Twitterで“これを看板に載せたら?”という声が上がり実現しました。これと同じデザインの看板は、他にも8か所見られます」(D.J.マメ氏)