親に介護が必要になったとき、どれくらいの費用が必要になるのか知っているだろうか。
介護費用は総額500万円超!
生命保険文化センターの調査(2021年度)によると、介護にかかる費用は、住宅のリフォームや介護用ベッドの購入費などの一時的な費用が平均74万円、介護施設や住宅介護サービスの利用料、おむつ代、介護食代などの月々の費用が平均8・3万円。介護期間は平均5年1か月としてこれらを合計すると総額は500万円を軽く超える。
親が要介護・要支援になると、介護サービスの利用料などに公的介護保険が適用され、自己負担の割合は1~3割となるが、それでも多くの費用が必要となる。高齢の親と同居している人や、これから同居しようと考えている人が避けては通れない親の介護費用の問題。少しでも負担を減らしたい。なにか方法はないだろうか。
「世帯分離という方法をとると、介護費用を抑えられますよ。日本の高齢者のうち46%は低所得者だといわれていますが、それを本人や家族が自覚していないので、本来受けるべき国からの補助を受けられていないのです。国の制度を賢く使って節約しましょう」
そう話すのは『「世帯分離」で家計を守る』の著者で「お金と福祉の勉強会」代表の太田哲二さん。世帯分離というのは同居中の親子が住民票を2つに分けて世帯を別にするというもの。これをすると介護費が安くなるのだとか。
これはどういうカラクリなのだろう。
「介護費の自己負担額は『世帯の所得』によって決まります。この『世帯』というのがミソ。親が属する世帯のことなので、親を子ども夫婦と同じ世帯にしておくと、所得が上がり、自己負担額も高くなるのです。そこで“世帯分離”。世帯を分けると親の所得だけで計算されるので、自己負担する料金が安くなり、結果的に介護費が安くなります」(太田さん、以下同)