後ろの人の視線がストレスになる

「セルフレジだけを設置している店舗というのはまだ少なく、基本的には有人レジとの併用をしている店舗がほとんどです。購入する商品数が多い場合などは、慣れている店員さんにスキャンを任せたほうがスムーズに済むことも多いので、買い物の状況に合わせてセルフレジか有人レジか柔軟に選択することも必要ですね」(石橋さん)

 精算のみを自分で行うセミセルフレジに対しても、苦言が集まっている。「みんながスムーズに操作できるわけではないので、結局支払いのところで混雑している。ひとりの人がつっかえてしまうことで、長蛇の列ができていることもよくある」(36歳・大分県・男性)、「お年寄りなどは、店員さんがいる対面のレジでお金の受け渡しをしたほうが結果として早いのではと思う。精算時にもたもたされると迷惑です」(41歳・東京都・女性)など、多くが混雑にまつわるものだった。

 必要以上に待たされてしまうことはストレスだが、操作にもたついて待たせてしまう側の悲鳴も。「お金を投入する場所が見つからずにまごついたり、クレジットカードをうまく読み取ってくれなかったりすることもあり、後ろに並んでいる人の目が気になってストレスを感じる」(54歳・島根県・女性)、「小銭を多く入れすぎたのか、機械が止まってしまい、後ろの人に舌打ちされて嫌な思いをした」(34歳・東京都・女性)など、混雑時のセルフ精算レジは必要以上に焦ってしまうという人も多いようだ。

「日本は特に現金志向の人が多く、海外に比べるとキャッシュレス決済の普及が遅れていましたが、近年一気に普及が加速し、現金以外の決済方法が選べるお店も格段に増えました。

 実は、電子マネーやキャッシュレス決済は、意外にも高齢の方にとってのメリットも多く、目が悪くなって小銭を探すのに苦労したり、財布から現金を出し入れする動作が遅くなったりしてしまう高齢者にとっては利便性が高いんです。セミセルフレジと同時にキャッシュレス決済が普及することも、混雑緩和のひとつの解決手段になるかもしれません」(石橋さん)

電子マネー、現金、クレジットカードなど希望の方法で支払いづらいという声も上がっている
電子マネー、現金、クレジットカードなど希望の方法で支払いづらいという声も上がっている
【写真】アンケートでわかったセルフレジのイライラ体験、第1位は?

 非対面がメリットであるはずのセルフレジだが、逆に不便さを感じるという人も。「エラーが起きて店員を呼んだが、混雑時で忙しかったのか態度が悪く、不快感を覚えた」(47歳・東京都・男性)、「生理用品などは買いやすいが、タバコやお酒などはセルフレジでは購入できず、わざわざ店員さんを呼んだり、有人レジに並び直さなくてはいけないので不便」(35歳・佐賀県・女性)といった意見も少なくない。さらには、「スキャンをできていない商品があり、万引きと間違われて店員に呼び止められた。こちらのミスなので必死に謝ったものの、有人レジなら起きなかったことだと思うと悔しい」(50歳・兵庫県・女性)など、セルフレジならではのトラブルも新たに起こっている。

「お酒やタバコなどの年齢確認については、マイナンバーカードとの連携案が出されるなど、対応の動きもありますが、現状はまだセルフレジの課題です。店側も客側もメリットやデメリットをきちんと理解しながら活用していくことが大事になっていると思います」(石橋さん)

 ウィズコロナ時代を迎え、完全セルフレジ社会がくる日もそう遠くない。少しずつ慣れておくことが必要なのかも。