音楽や動画配信、洋服など、さまざまな分野で広がる「サブスクリプション」、通称「サブスク」。一定額を支払うことで利用できる仕組みのサービスだ。暮らしに定着しつつある中、ここへきて新たな波が生まれている。子どもの利用を対象にしたサブスクが続々と登場しているのだ。
制服と体操着のサブスクで割安に
「この4月から、制服と体操着のサブスクを始めました。保護者の要望を受けた取り組みです」
こう語るのは、大分県日田市の認定こども園『三隈幼稚園』の渕健一園長だ。
もともと同園には、保護者の転勤等で途中入園する園児のために、定価の9割引きで制服を再利用(リユース)して提供するシステムがあった。
「在園児童の保護者から“私たちにも何か(支援は)ありませんか?”という声が出たのです。また、当園では国連が掲げる持続可能な開発目標『SDGs』に取り組んでいたこともあり、サブスクならば環境保全、多様性の尊重といったSDGsの理念にも合致する。そうした経緯で導入を決めました」(渕園長、以下同)
同園の制服と体操着は、一式3万400円。それがサブスクを利用すれば毎月500円で借りられる。3年間、利用すると合計は1万8000円になるので、購入した場合の6割ほどに抑えられる計算だ。子どもの成長とともにサイズが合わなくなったり、破れたりしたら無料で交換可能。4月から入園する園児のうち、「10名の保護者がサブスクの利用を申し出た」と渕園長は語る。
「制服を入手する際、入園時に購入するだけでなく、園で行っているバザーでお下がりを購入していた保護者も以前から多くいました。そのせいか、リユースに抵抗がある人は意外と少ない。まずはバザーで手に入れ、サイズが合わなくなったらサブスクを検討したいという声も聞きます」
現在のところ、靴下など直接身に着けるものは対象外。これらも利用できるよう、サブスクの拡充を希望する保護者も少なくないそうだ。