【対決その3 ヨーグルト】──乳酸菌のみvs乳酸菌+ビフィズス菌入り 

市販のヨーグルトは「乳酸菌のみ」のものと「乳酸菌+ビフィズス菌入り」に分類できる。上のヨーグルト、あなたは仕分けられる? 正解は次の画像をチェック!

──次にヨーグルトですが……。あれ? そもそもヨーグルト部門は何と何を対決させるんですか?

「ヨーグルトは見た目も値段もほぼ同じような商品が多いので、違いがあることをあまり知られていない人が多いでしょうが、市販のヨーグルトには“乳酸菌のみ”と“乳酸菌+ビフィズス菌入り”のものと2種類存在するのです。これが意外と重要。何が違うかといえば、体内での働きですね。乳酸菌は主に小腸で働く菌。ビフィズス菌は大腸をメインに働く菌。両方とも腸内環境を整えるという意味で同じですが活躍するフィールドが違います。それともう一つ。実はビフィズス菌は、今すごく注目されている“短鎖脂肪酸”のひとつ酢酸を生み出すんです」

──酢酸が生み出されると具体的にどうなるのでしょう?

酢酸には健康な腸粘膜を維持し、腸管のバリア機能を高めるという役割があります。他にもぜん動運動を促し便通を改善する働き、また過剰な脂質の吸収を抑えることによる肥満予防や、代謝向上の働きがあります。

 そんな酢酸は口から摂取すると胃腸で消化吸収されてしまいます。ですが、実はビフィズス菌の効果により“大腸で生み出す”ことができるんです」

――ビフィズス菌が入るだけで、大腸で酢酸が作られ、大腸が整うと。

「そうです。また脳と腸がつながっているという脳腸相関という考えもあり、大腸が良い状態であると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンなどの産出を助け、脳が活性化するともいわれます。つまり気持ち的に元気になる可能性があります。また、ビフィズス菌入りはヨーグルト特有の酸味が弱いという特徴も。酸味は主に乳酸菌によって出るものなのですが、酸度が強すぎるとビフィズス菌が育ちにくくなる。なので、酸味が好きな方にとってはビフィズス菌入りは酸味が足りないように感じるかもしれませんが、比べてみると、ビフィズス菌入りの方がまろやかな味わいを感じるはずです

「乳酸菌のみ」のヨーグルトたち

――健康コスパがより高いビフィズス菌入りヨーグルトの効率の良い食べ方というものもあるのでしょうか。

「食べるタイミングは朝でも昼でも夜でもいいのですが、重要なのは一口ずつでも毎日食べることです。なぜなら腸内細菌は、日々排せつされていくからです。一日スプーン一杯でもいいから、ちょい足ししていくのが効果的ですね。でも、ただ食べるだけでは飽きる方もいらっしゃるでしょう。それならばドレッシングや料理に使っていただくという手もあります」

――ドレッシングにもなるのですか!

「はい。ビフィズス菌入りのヨーグルトに柚子胡椒と醤油を混ぜていただくと、茹でたお野菜などにとても良く合います。また意外かと思われるかも知れませんが、そのドレッシングを納豆にちょこっと乗せて食べると本当によく合いますよ〜。さらにはマグロとも相性がいいので、マグロのサラダに合わせてもいいですね。配分としてはヨーグルト100gに対して柚子胡椒、醤油は小さじ1未満ぐらいでいいでしょう」

――飽きなくていいですね。

「他にも、今はやりのオートミールとドライフルーツを入れておくという食べ方もオススメ。オートミールは食物繊維が多く、ビフィズス菌は水溶性食物繊維を餌とするので、一緒に食べると効率的に栄養が摂れます。さらには味わいもオートミールがヨーグルトの水分を吸って味が濃くなり、オートミールは逆に柔らかくなり食べやすくなる。前日の夜にビフィズス菌入りのヨーグルトにオートミールとドライフルーツを入れると、朝ちょうどいい具合で食べられるでしょう」

こちらが「乳酸菌+ビフィズス菌入り」のヨーグルトたち。パッケージに“ビフィズス菌”について書かれている

――ところで、コスパやタイパ的にはどうでしょう。

「ビフィズス菌入りとそうでないもの、値段はそれほど変わらないのですが、トータルでみると若干ビフィズス菌入りのものが価格帯が低いようです。また、乳酸菌のみのヨーグルトは種類が多いことからコンビニでも棚に並ぶ光景をよく見かけますね。手に入りやすさ(タイパ)的には乳酸菌のみのものに軍配が上がりますビフィズス菌入りかどうかは、パッケージに書いてあるので、よくチェックして見つけてみてください

――ちなみにビフィズス菌のサプリを飲む……のではダメですよね?(笑)。

「ダメではありませんが、やはりしっかり食べ物として口から摂ることが大切です。それが胃腸の筋トレにもなりますし、料理として食べることで複合的な栄養素が摂れるということも重要。そして大前提として“美味しさ”を忘れてはいけません。人は美味しく食べての環境下でQOL(クオリティー・オブ・ライフ)が上がりますから、それを若いうちから捨ててしまうのはもったいない気がしますね」

 

 今回は3つの食材を取り上げ、“健康コスパ”の観点で新しい提案をしてきた。それにしても、ヨーグルトにおけるビフィズス菌の有無の違いには驚きだ。未曾有の物価高の時代をどう生き抜くか──それが求められる今だからこそ「コスパ」「タイパ」そして「健康コスパ」に注目して日々の生活を送りたい。

浅野先生からひと言「目に見えないコスパに注目して」

 

「目先の効果だけでなく、さらにその先……腸内環境が整い、その結果、肌が良くなるとか毎日動きやすくなるとか、ほかの栄養素の吸収をしやすくなるなど、変わってくる部分があります。サプリなどで得られるコスパもありますが、効率だけではなく、しっかりと食べ物として摂取するほうが実は身体にとって良かったりもする。コスパが重視される時代だからこそ、目に見えない“健康コスパ”に注目してみてはいかがでしょうか」

●浅野まみこ                                  総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、現在は、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。銀座飲食店のヘルシーメニューの考案や品川駅やコンビニにて「管理栄養士浅野まみこ監修47品川駅弁当」のプロデュースをはじめ、NHK「おはよう日本」、NHK「オトナへのベル」、フジテレビ「バイキング」など、メディアや雑誌に多数出演

ウェルネス総合研究所 “健康コスパ”特集ページ https://wellnesslab-report.jp/cs/kenko-cospa/