「検査中は誤ってトイレに流さないよう、注意する必要があります。体内に残っていると問題がありますから、必ず回収し排出を確認します」

 カプセル内視鏡の検査中は胸部と腹部にセンサーをつけ、腰に画像を受信する受信装置を取り付ける。画像は送信機で送るため消失する心配はない。

検査費用と前処置

 大腸カプセル内視鏡は2014年、CTCは2012年から健康保険の適用となった。

「ただし、CTCの場合は、便潜血検査などで大腸がんが疑われる患者、カプセル内視鏡は手術などで腸の癒着があり大腸内視鏡が困難、または困難が予想される患者が対象となります。誰もが保険適用で、気軽に受けられる検査ではありません。どちらかというと、人間ドックや自由診療向けの検査ですが、受検しやすさから注目されています」

大腸カプセル内視鏡の大きさは長さ約32mm、直径約12mm。前後に内視鏡カメラを搭載し、360度近くの視野角で腸内を撮像する。フラッシュの役割をする白色LED、バッテリー、データ送信機などを内蔵。移動速度に合わせて、撮像枚数を調整しながら消化管内を進む。画像提供/コヴィディエンジャパン株式会社
大腸カプセル内視鏡の大きさは長さ約32mm、直径約12mm。前後に内視鏡カメラを搭載し、360度近くの視野角で腸内を撮像する。フラッシュの役割をする白色LED、バッテリー、データ送信機などを内蔵。移動速度に合わせて、撮像枚数を調整しながら消化管内を進む。画像提供/コヴィディエンジャパン株式会社
【写真】最新の検査で実際に見つかった腫瘍や病変

 気になる検査料金はクリニックによって異なるが、自由診療でCTCは2万~3万円程度、カプセル内視鏡は10万~15万円程度(編集部調べ)。特にカプセル内視鏡は、カプセルが使い捨てのため、カメラを買っているのと同じで高額になる。下剤を飲むなどの、検査の前処置は?

「どちらも、大腸の中をきれいにしておく必要があるため、前処置の下剤はやはり必要。ただ、CTCの場合は、大腸内視鏡と比べて下剤の量が少ないのが特徴です」

 CTCは大腸を膨らませるため、肛門から炭酸ガスを注入。そのとき、膨満感はあるが、検査後、ガスは腸管から吸収される。この検査中の膨満感は、病院を出るころには消えているという。結局、炭酸ガスを注入するためお尻を出すのは大腸内視鏡と変わらないが……。

「お尻の大部分は検査着で隠れていますし、医師や検査技師は、毎日検査を行っているので、お尻を出すのを恥ずかしいと思う必要はまったくありません。しっかりと大腸がんの検査を行うことがなによりも重要。一瞬の恥ずかしさのために命を失うようなことはしないでください」

 男女共に死亡数の多い大腸がんだが検査率は低く、便潜血検査の受診率はわずか2割(統計によってばらつきあり)。さらに、便潜血検査が陽性の人でも、内視鏡検査を行うのは約6割しかいない。

「“費用が安い検査=精度が低い”とみなしがちですが、便潜血検査の精度はそれなりに高いんです。時々、陽性になっても『痔だから大丈夫』『生理の血がついただけ』といった自己判断で精密検査を避けてしまう人がいますが、危険ですのでやめましょう」