48歳で乳がんを告知され、両胸を全摘。さらに抗がん剤の副作用で脱毛してもスペイン生まれの情熱的なフラメンコを踊り続けた、フラメンコダンサーの鍜地陽子さん。50歳になった現在はほとんど髪が生えそろい、両胸の再建手術も実現。この4月にはフラメンコのソロライブも復活させました、と笑顔で話す。
「まさか自分が」突然の乳がん告知
その笑顔の裏に苦しい闘病生活があった。
「がんがわかる少し前から左胸の下のほうに筋のようなものがあったんです。でも、かがむと少し違和感がある程度で、触ってもしこりみたいなものは見つけられなかったので、ほとんど気にしていませんでした」(鍜地陽子さん、以下同)
それが乳がんの初期症状だった。
「悪性のしこりによる“攣れ”だったんです。もう少し身体を気にしていればこの時点でしこりが見つかったかもしれないし、もう少し知識があれば病院に行っていたかもしれない。そのときは自分が乳がんになるなんて少しも想像していなかったんです」
がんの疑いが出たのは、2021年2月に受けた乳がん検診。左胸に乳がんの兆候である石灰の塊が見つかり、再検査をすることに。
「エコー検査をすると左胸に腫瘍が見つかりました。さらに詳しく検査をすることに」
後日結果を聞きに行くと、医師のパソコンの画面に「悪性の組織が認められる」という文字があった。
「先生からステージ1の乳がんを宣告されました。『まさか私が?』と目の前が真っ暗になったのを覚えています」
鍜地さんの乳がんは女性ホルモンの影響で大きくなるタイプだが、悪性度が低く、増殖速度も比較的遅いもの。さらに早期発見だったため、不幸中の幸いでステージ1。その後、胸部MRIやマンモトーム生検などの精密検査を受けた。
「病気になったことがなかったので初めての検査ばかり。見ていて面白~いと思っていました(笑)。そうでも思わないとおかしくなってしまいそうだったんです」