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「1年に1回しか買い物に行けない場所」
笑顔で南極の印象を教えてくれたのは、'15年12月から約1年2か月の間、南極にある「昭和基地」の調理隊員を、民間の女性として初めて務めた渡貫淳子さん。
食品ロスゼロへ。極地で学んだ“すべきこと”
年間約612万トンのフードロスを出し、必要量以上の食があふれている日本とはかけ離れた環境での調理経験は、食に対する考えを大きく変える契機になったと振り返る。
「調理隊員としての最初の仕事は、任期期間に隊員30人が食べる食料の事前発注でした。現地に持っていけるのは、この時の発注分のみ。
もちろん途中の買い足しは不可能です。用意した食材が任期終了まで足りるか不安になり、少しの食材も無駄にしないという意識が高まりました」(渡貫さん、以下同)
また、南極では、基本的にゴミは帰国時に持ち帰るというルールがあるため、食材や調理の際の生ゴミが出ない工夫を心がけた。
「キャベツの芯、玉ねぎの茎など野菜の硬い部分も残さずいただきましたし、料理が余ったら別の料理に変化させて、煮汁まですべて使い切るように徹底しました。
最初は無駄やゴミをなくす目的でしたが、リメイク料理だからこそ出会えた味に感動することも多かったです」
帰国後も、毎日の暮らしで食品ロスをなくす調理を実践。「この煮汁で〇〇を作ってみようかな」など、すべて食べ切る方法を考えるのも楽しみになっていると話す。