目次
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ー 60代貯金ゼロ世帯が増加! ー 【家計】に関するマチガイ常識
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ー 【年金】に関するマチガイ常識
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ー 【保険】に関するマチガイ常識 ー 【ローン】に関するマチガイ常識
Page 4
ー 【運用】に関するマチガイ常識 ー 【その他】に関するマチガイ常識

 老後、“貯蓄ゼロ”の状態は絶対に避けたいところ。だが、そんな究極のピンチに陥っている高齢者は少なくない。

60代貯金ゼロ世帯が増加!

 金融広報委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯調査、令和4年)によると、貯蓄ゼロを示す金融資産非保有世帯は60歳代・70歳代の2人以上世帯で約20%と、5世帯に1世帯の割合にも及ぶ。おひとりさまの場合、その数値はさらに増える。

「リタイア目前の世代でも、自分たちの家計のあり方や、保険年金ローンなどの備え方について、正しく理解していない場合が多いです。間違ったマネーの常識にとらわれているとお金は貯まらず、老後貧乏を招きかねません」

 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん。老後の貯蓄ゼロを避けるには間違った考えを矯正することが第一歩といえる。

「そのうえで明るい老後につながる真のマネー常識を学び、実践しましょう」(黒田さん、以下同)

 マネー分野ごとに、誤解と正解を見ていこう。

「60代の貯金ゼロ世帯が増加!」※画像はイメージです
「60代の貯金ゼロ世帯が増加!」※画像はイメージです

【家計】に関するマチガイ常識

夫婦の財布や口座は別々にするべき

 お互いを尊重して夫婦の財布は別々とし、それぞれが生活費を担い、貯蓄も各自で行う。一見良さそうだが、これは貯まらない家計の典型。

「担当する生活費以外、各自の収入を自由に使えるので浪費を生みやすい。片や貯蓄は『相手が貯めているだろう』と思い込み、共働きの二馬力も活かされません」

 夫婦どちらかが財布を握り、家計管理や貯蓄を一手に担うのが貯まる家計の姿だ。

「夫もしくは妻が双方の給与口座を把握してやりくりします。収入や支出を細かく管理できるので節約しやすく、効率よくお金を貯められます。小遣い制になると管理される側が不満を抱きやすいので、それを解消する策を話し合って講じるのがポイントです」

年を取れば生活費は自然と減るから暮らしは楽になる

 老後家計支出は教育費を除いた現役時代の約7割といわれている。ただ生活コストが下がるからといって、暮らしが楽になるわけではない。

老後に働いたとしても、収入は現役時代より落ちます。そして働けなくなったら年金や貯蓄が頼みの綱になります。収入源が少なければ苦しい生活を強いられるのです」

 黒田さんの相談顧客の中には、老後に住民税や固定資産税を支払えず滞納し、財産を差し押さえられた例も。

「そういった事態を防ぐには、50代になったら家計支出をダウンサイジングして過ごすこと。あらかじめ訓練しておけば、老後のやりくりは楽になるでしょう」

貯金ができないのは「収入が低い」せいだから仕方ない

 “低収入=貯まらない家計”と考えがちだが、では収入が高ければ貯まるのだろうか。

「『支出の額は、収入の額に達するまで膨張する』。イギリスの学者が唱えたパーキンソンの法則と呼ばれるものです。

 収入が高ければその分支出も必然的に増えてしまい、どちらにせよ貯蓄は難しいということです」

 貯まる家計と貯まらない家計の違いに、収入は関係ないと指摘する黒田さん。

「両者を分けるのはお金に対する意識の高さです。なぜお金を貯めるのか、いつまでにいくら必要なのか。貯蓄意識が高い世帯は目的と目標を明確に持っています。その差により、収入が高くても貯まらない家は貯まらず、低くても貯まる家は貯まるのです」