股関節痛を放置すると健康寿命が短くなる!?

 変形性股関節症は、症状が悪化すると、安静にしていても股関節に痛みを感じるようになるという。

「軟骨のすり減りが軽度な場合、立ち上がる瞬間や歩きはじめに股関節が痛みます。しかし、軟骨がほぼなくなった『末期股関節症』まで悪化すると、常に激しい痛みが。とはいえ、股関節の痛みが原因で、身体を動かさなくなるのは非常に危険。

 加齢とともに身体機能や認知機能が落ちます。“フレイル”や、加齢で筋肉量の減少と筋力の低下を招く“サルコペニア”を発症し、要介護リスクが上がってしまうのです」

 股関節痛の放置は、健康寿命の短縮にもつながる。歩行困難となり、寝たきりの老後を迎えないためにも、早期のケアが必要だ。

「痛みを感じたら、まずは『股関節外来』を受診するのがベスト。もしも、近所の整形外科医院に数か月通っても痛みが改善されない場合は、股関節専門医にセカンドオピニオンを取りましょう」

 変形性股関節症以外にも「大腿骨頭壊死症」「大腿骨頸部骨折」など股関節痛を伴う疾患は多くある。誤ったセルフケアを行うと症状が悪化する可能性があるので医療機関の受診は必須だ。

股関節症の進行と重症度

1.前股関節症

 軟骨はすり減っておらず、動き出しに痛みを感じるが歩行中の痛みも軽度。休めば痛みが消えることが多い。

2.初期股関節症

2.初期股関節症(イラスト/赤松かおり)
2.初期股関節症(イラスト/赤松かおり)

 軟骨がすり減りはじめ、関節のすきまが狭くなる。痛みを感じるようになり、骨が硬くなる骨硬化などが現れる。

3.進行期股関節症

3.進行期股関節症(イラスト/赤松かおり)
3.進行期股関節症(イラスト/赤松かおり)

 軟骨はほとんどなくなり、骨が棘のようになる「骨棘(こっきょく)」ができる。骨には空洞ができ、痛みが強まる。

4.末期股関節症

4.末期股関節症(イラスト/赤松かおり)
4.末期股関節症(イラスト/赤松かおり)

 軟骨がなくなり、骨棘が増大、股関節が大きく変形。強い痛みを常に感じる。さらに進行すると股関節が動かなくなり、あまり痛みを感じない。