「かつて、人工股関節は10~15年ほどで使えなくなるといわれていました。しかし、海外の調査では20年以上前に人工股関節置換術を受けた人の9割超が、現在も問題なく生活しているという報告があります。
また、人工股関節そのものも改良されており、材質や機能の質もアップしています。最新の人工股関節手術を受けて適切なリハビリをした患者さんの中には、後にフルマラソンを完走した人もいます」
ただ、若いうちに人工股関節にすると、年齢を重ねてから再手術を受けるリスクが残る。一生のうち1回で手術を済ませるために50歳以上が手術の対象になることが多い。
“人工股関節=スポーツができなくなる”という常識は覆りつつある。
「長い人生、自分の足で歩きつづけるためにも、股関節の違和感や痛みは放置せず、早めにケアを始めましょう」
高平先生が考案!『3Dジグリング』
股関節痛を改善する3Dジグリング。ただし、やりすぎは症状を悪化させるので、無理のない範囲で行うのがコツ。途中で痛みが生じたら中止しよう。
(1)背筋を伸ばし、足を肩幅に広げて立つ。両手を股関節の上に添えて両膝と股関節をやや曲げ、イラストのように腰を落とす。
(2)骨盤を右回りに大きくゆっくりと10回、回す。足は肩幅ほど開く。慣れてきたら、徐々に足幅を狭めていくとより効果的になります。
(3)次に左回りに骨盤を10回、回す。
《POINT》1分の体操を1日3セット行う。朝・昼・晩のタイミングで行うと習慣化しやすい。
教えてくれたのは……高平尚伸先生●北里大学大学院医療系研究科整形外科学教授。専門は股関節外科学。『股関節痛 名医が教える最新1分体操大全』(文響社)など著書多数。
(取材・文/大貫未来)