数値が高いほうがいいは間違い
コレステロールの数値の話をすると、よく聞くのが「数値が高いほうが長生きできると聞いたのですが……」という意見だ。
「肝臓病やがんなどの死亡率の高い病気や寝たきりになるとコレステロール値が異常に下がることがあります。
そういった特殊な例を考慮しないままデータを分析して、『コレステロール値が低いと死亡率が上がるから、高くていい』と解釈している間違った情報が一部で広まっているようです」
たしかにコレステロールは身体にとって必要な物質だが、増えすぎると血管の壁にたまって動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの発症率が上がることは国内外の研究から明らか。
間違った情報をもとに“寿命を縮める肉”を食べすぎて後悔しても遅い。健康診断で悪玉コレステロールが高いと指摘されている人は特に気をつけたい。
豚肉の赤身が免疫力のカギ
近年、免疫力の研究が進み、いま注目されているのがビタミンB1だ。
腸が免疫機能にとって大事だという話を聞いたことがある人もいると思うが、腸の中には「パイエル板」という免疫力にとって大事な組織があり、それがビタミンB1不足によって小さくなってしまうことが、東京大学などによる最新の研究でわかったのだ。
免疫力は感染症を含め、さまざまな病気を寄せつけないシステムのこと。健康長寿にとって、もっとも大事なもののひとつだ。
免疫力が下がらないように、ビタミンB1を多く含む食材を効率よく食べておきたいが、注意点があるという。
「ビタミンの中には体内にためておけるものとためておけないものがあるのですが、ビタミンB1は残念ながらためておけません。そのため、一度にたくさん食べるのではなく、毎日継続して食べる必要があります」
そう教えてくれたのは管理栄養士の金丸絵里加さん。では、どういった食材に多く含まれるのか。
「うなぎやたらこといった食材にもビタミンB1は含まれていますが、うなぎは高価ですし、たらこは塩分が気になります。その点を考えると、日常的に食べることができてビタミンB1が多いのは豚肉です」(金丸さん、以下同)
豚肉とひと口にいっても、ヒレ肉やもも肉といった赤身肉に特に多く含まれている。豚バラ肉は赤身より脂身が豊富なので、その分、ビタミンB1は少ない。むしろ飽和脂肪酸が多いので、同じ豚肉でも気をつけたい。
ハムも同様で、赤身のボンレスハムがおすすめだ。