五十肩を放置すると地獄を見ることに
五十肩を放置すると、どうなってしまうのか。
「五十肩といわれる肩の痛みのなかで特に多いのが凍結肩(とうけつがた)という病気です。関節が癒着して動きが悪くなり、進行するとちょっと動かしただけでも激痛が走り、痛い肩を下にして寝られなくなります。
睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れ、仕事や日常生活に支障が生じます」
凍結肩は、放置すると多くの人が治るまで1年以上かかる。これだけでも気が遠くなるが、7年たっても半分しか治らないという報告もあるのだ。
「いつ治るかわからない不安を抱え、何年も激痛に耐えるのはまさに地獄といえます。私のところには、痛みに我慢しきれず駆け込んでくる人ばかりでなく、どの医療機関に行ってもよくならず、うつ状態になっている人もやって来ます」
さらに、五十肩の診断では薬漬けになる場合も少なくないという。
「痛み止めの薬には依存性が生じる危険なものもあります。欧米では多くの死者が出て社会問題になり、学会が警告を出しています。
痛みが3か月以上続くと、脳の働きが変化して薬が効きにくくなります。薬ばかりに頼ると、副作用や薬剤依存の危険が高まるのです」
五十肩のなかで、凍結肩と同様に多い病気が腱板断裂(けんばんだんれつ)。肩の関節を包む腱が断裂する病気だ。
腱板断裂は自然修復せず、時間とともに断裂サイズが拡大する。大きな断裂になると手術を受けても完全には治らない。
五十肩を放置するのは想像以上に危険なのだ。