食品ゴミに群がる大量のゴキブリ
依頼者は40代女性の看護師でひとり暮らし。夜勤が多く精神的疲労も重なってゴミ捨てができなくなり、1LDKの部屋が隠れゴミ屋敷と化してしまったという。
ゴミの大半はペットボトルや弁当容器などの食品ゴミ。行き場のないゴミが踏み固められ、部屋全体がゴミで底上げされた状態。もちろん、床は一切見えない。
「この現場はゴミの物量はもちろんですが、それよりも食べ残しによる悪臭がひどかったですね。食べきれなかったお弁当などが、そのまま放置されて腐敗し、悪臭を放っていて。ゴキブリも大量に発生していました。大げさではなく1000匹はいたんじゃないでしょうか」
そんな部屋に住み続けていたとは、にわかに信じがたいが……。
「ゴミ屋敷に住んでいる人は、ゴミの臭いに慣れてだんだん感覚がまひしてしまうんです。また、僕たちが作業をしたのでゴキブリもワッと出てきました。
普段はゴミの下に隠れていたんだと思いますが、ゴキブリのいる空間が日常化していて……。その異常さにも気づけていないんですね」
集合住宅なので燻煙(くんえん)剤は、隣の部屋にゴキブリが逃げて迷惑をかけるので使えない。
その他のゴミを掘り起こすたびに壁を一気に駆け上がるゴキブリに、すかさず殺虫剤を吹きかけるという根気勝負。強力な殺虫剤を5本以上使っての過酷な作業となった。
最終的にゴミの量はゴミ袋300袋以上、トラック5台分に。そもそも1LDKにそんなにゴミが入るのかと不思議だが、踏み固められて圧縮されていればそのくらいは可能だという。
残してほしいゲーム機やお気に入りのパーカもゴミ底から見つかり、依頼者はほっとした様子だったという。
「依頼者の男女比は女性6割、男性4割くらい。女性は精神的な悩みを抱えやすく、社会的にも弱い立場に陥りやすい。誰にも頼れずにいるシングルマザーも多いです」