目次
Page 1
ー 左乳房に1.2センチの初期の乳がんが見つかる
Page 2
ー 「胸がなくなっても私は私」と思えるようになった1冊の本
Page 3
ー 今の自分だからできる

 

 50歳を迎えた年に乳がんが判明した、百貨店のランジェリーショップに勤務するshantiさん。更年期の治療でホルモン補充療法を受けていた最中に見つかった病。「毎年乳がん検診を受けていたのになぜ……」心の葛藤を乗り越え、より自分の身体を愛したいとの境地に至りヌードモデルにも挑戦した、その思いとは。

左乳房に1.2センチの初期の乳がんが見つかる

 乳がんで左乳房の全摘手術を受けた後、52歳でヌードモデルに挑戦したshantiさん(仮名・53歳)。乳がんが見つかったのは、2022年1月4日のことだった。

「数年前に自治体の乳がん検診を受けた時、担当の医師に『左胸に黒い影があるのが気になる』と言われたんです。それ以来、半年に一度、乳腺外科クリニックを受診してマンモグラフィー検査とエコー検査を受けていました」

 shantiさんが毎年きちんと検査を受け続けていたのには、もうひとつ理由があった。

「更年期といわれる年代になってからホットフラッシュの症状が出るようになったんです。接客業という職業柄、ホットフラッシュで汗をたくさんかくのは避けたいと思い、婦人科を受診してホルモン補充療法を受けることにしました。でも“ホルモン補充療法を受けると乳がんになりやすくなる”という情報を耳にしたことがあったので、乳がんの検査はちゃんと受けようと思っていたんです」

 shantiさんの中には、“乳がんの検査を受けていれば乳がんにはならない”という根拠のない思い込みが根づいていたという。

「ですから、乳がんが見つかった時には何かの間違いだと思い、信じられませんでした。だって毎年検査を受けていたのに!って。でも、振り返ってみると、その1年前の検査の際、私のマンモグラフィーの画像を見た先生が“ん?”という顔をしたんですよね。先生は“様子をみましょう”とおっしゃったのですが、もしかするとあの時、すでに小さな乳がんがあったのかも」

大好きな海へ毎週通う。片道3時間かかっても苦ではないという。
大好きな海へ毎週通う。片道3時間かかっても苦ではないという。

 乳腺外科クリニックの紹介状を持って総合病院を受診し針生検を受けたところ、左乳房に1.2センチの初期の乳がんが見つかった。

「『浸潤性乳管がん』という乳がんで、当初は部分切除の手術になるといわれました。その時点では“形は悪くなっちゃうけど、仕方ないかぁ”と自分を納得させることができました」