極端に物を減らして“闇落ち”する可能性

「お金も時間も無駄になりますし、自分がやったことが失敗だったとわかるわけですから、自己肯定感がぐっと下がります。さらに、家族やパートナーからは“やめとけばよかったのに”と責められることも。周囲の人との関係も悪くなる可能性が大きいです。

 何より、現実に抱えている本当の悩みや問題は解決できていないままですから、断捨離してストレスが増えただけ、という結果になりかねません」

 家族のひとりが“捨てすぎ病”に陥ると、全員が巻き込まれるという懸念もある。母親がミニマリストに猛進し、子どものおもちゃや夫の持ち物を勝手に全部捨てるという事例も。

「親に大切な物を捨てられた経験をすると、子どもはそれがトラウマになり、嫌だと感じるものはすべて排除するようになって人間関係がうまくいかなくなることがあります。

 例えば、上司から指導されたら“嫌われた”と思って、すぐに会社を辞めてしまったり、ひきこもりの原因になる場合も。

 コロナ禍を経て、近所や親せき付き合いが希薄になった今、家庭の密室化が進み、ひとりの極端な価値観に家族全体がコントロールされてしまう危険は高まっていると感じます」