近年は超高齢社会の加速で医療費が増大。健康保険制度の存続が不安視されていた。そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルス感染症の拡大。

 検査代やワクチン接種などは公費で賄われていたが、財源には当然限界があり、莫大な予算がつぎ込まれたツケは必ず回ってくる。

 この状況では健康保険料の現行の3割負担を維持するのが難しくなり、医療を受けたくても受けられない人が増大する、と御喜さんは話す。

検査費用の確認は病院の事務窓口に

 適切な治療には病気の特定が必要不可欠、つまり検査を正しく行わなければならない。しかし、

「今まで無料だったのに有料なら受けたくないという感覚がある。物価も上がり生活水準も落とさざるを得ない状況もあると思いますがやはり、“削るところはそこじゃないでしょ”と感じる場面もありました」

 家族がコロナで自分も発熱などの症状が出始め、コロナ検査を希望した患者がいた。数百円ほど検査料が上がるけれど、インフルエンザも流行しているので一緒に検査をしたほうがよかったが、支払いをしたくないということで、検査を拒否。

「結局、この患者さんはコロナ陰性で再度の検査により、インフルエンザと診断されました。2度の検査となり、より高い医療費を払うことになったのです」

 これは一例だが、自身の判断や節約意識で病気の判明が遅れたり、逆に支出増となってしまうケースがある。

「検査費用について疑問に思うことは、病院事務の方や窓口に確認を。医療費は治療費、検査費、薬代などの合計なので、それらすべてを医師や看護師は具体的な金額まで把握していません。

 命の危機管理をケチらず、もし治療が必要になった場合に、適正に受ける。そんな心がけで賢い患者をめざしましょう」