冬の乾燥肌に保湿クリーム。どれが正解?

 冬から春先にかけて、肌は乾燥しがち。そんなときに活躍するのが保湿剤。ドラッグストアで購入する人が多いが、購入のときに成分を確認している人は少ないのではないだろうか。

 実は肌の症状に合わせて選ばないと、カサカサが改善されなかったり、場合によっては悪化することもあるのだ。

「ひと口に保湿剤といっても、いろいろな成分があります。店頭でよく見かける『ワセリン』は、皮膚刺激性が低いので、全身に使用できます。乾燥しがちな部分以外にも、衣類との摩擦などから肌を守ってくれる効果も。

 また、軽い擦り傷などに使うと、傷口の乾燥を防ぎ、早く治ります」

 ただ、ワセリンは保湿性が低いので、こまめに塗るのがコツ。100gで150~400円程度と安価なのもうれしい。

「もっと保湿効果が高いものとして『ヘパリン類似物質』があります。ワセリンの約2.5倍程度の保湿効果があり、乾燥による肌荒れや、しもやけなどの症状によく処方されます。

 ただし、傷口に塗ると出血が増し、刺激感が出ることがあります。塗るときは傷口を避けてください」

 ヘパリン類似物質は、肌の奥の角質層まで浸透し、副作用が少ないのが魅力だが、100gで2000~3000円と高め。

「ひじやかかと用の保湿クリームによく配合されている『尿素』は、天然の保湿成分です。尿素の配合が10%のものは保湿用として、20%は10%よりも保湿性が高く、角質を溶かす作用があります」

 尿素は、ヘパリン類似物質より価格が安く、100gで600~1400円と手頃だ。ただし、刺激性があるので、炎症している部分や傷があるところへの使用は避けたほうがよい。

 冬のカサカサ肌に塗りたい保湿クリーム。意外と成分によって違いがあるので上手に使い分けたい。

 なお、これらの保湿剤が配合されているものは、ドラッグストアでも購入可能だが、健康保険を利用して病院で処方されるのほうが安い場合も多い。深刻な肌トラブルはぜひ受診を。

鈴木素邦さん●薬剤師、MBA(経営学修士)。東京大学、慶應義塾大学などで教壇に立つ。現在は、薬局向けコンサルティング事業を立ち上げ、薬局経営をサポートしている。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)
鈴木素邦さん●薬剤師、MBA(経営学修士)。東京大学、慶應義塾大学などで教壇に立つ。現在は、薬局向けコンサルティング事業を立ち上げ、薬局経営をサポートしている。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)

教えてくれた人……鈴木素邦さん●剤師、MBA(経営学修士)。東京大学、慶應義塾大学などで教壇に立つ。現在は、局向けコンサルティング事業を立ち上げ、局経営をサポートしている。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)。

取材・文/かめいえみこ