「実は私の友人の妹さんも同じ近所の婦人科に通っていて症状が好転しなかったため、転院したところ、卵巣がんが見つかったという話を聞いたんです。友人からその話を聞いてまずいなと感じ、その場で転院の予約を取りました。

 あの話を聞かずに転院が遅れていたらと思うと怖いですね……。長く診てもらっている主治医だと、遠慮してしまうこともありますが、不安を感じたら迷わず別の先生に見てもらうことがとても大切だと感じました」

 転院先で検査すると、4cm程度の卵巣の腫れを指摘された。ここでも子宮頸がんと子宮体がんの検査を受けたが特に問題はなかった。

「念のため腫瘍マーカーとMRIを受け、翌月に結果を聞きにいくと、卵巣がんの疑いがあると告げられ、大学病院を紹介されたんです。ショックでしたね」

 紹介先の大学病院で、卵巣がんの疑いで間違いないので手術を、という話に。初めのクリニックを訪れてからすでに半年が経過していた。

「大学病院で卵巣と子宮、周囲のリンパ節の切除手術を受け、ステージ1〜2の卵巣がん、それにステージ1の子宮体がんも見つかりました。術後は半年間抗がん剤を続け、昨年の9月から経過観察中です。

 がんの発見まで紆余曲折ありましたが、思い切って別の先生に相談したことで命拾いしました。診断に不安があれば躊躇(ちゅうちょ)せずに別の病院に行ってみるべきだと思います」

 がんの予兆といえど、普段の体調の変化の中に埋もれてしまうような小さな変化も多く、見逃してしまうことも少なくない。特に女性の場合は、婦人科系の症状だと受診を先送りにしがちだ。

 少しでも不安を感じていたら、早めに病院で検査を受けたり、複数の先生に相談したりすることが大切なのだ。

「振り返ってみると、あれが予兆だったのかなと思うけれど、そのときは信じたくないという気持ちもあって見過ごしがちだった」と語るがんサバイバーの3人
「振り返ってみると、あれが予兆だったのかなと思うけれど、そのときは信じたくないという気持ちもあって見過ごしがちだった」と語るがんサバイバーの3人

取材・文/井上真規子