ごはんだけでも幅広いバリエーション

 普段は五分づき米や玄米を食べているという横山さん。

「玄米のぬかの部分にはビタミンやミネラル、食物繊維など栄養成分が豊富に含まれています。この玄米を精製したのが分づき米で、ぬかを半分ほど残したのが五分づき米。ぬかの栄養を残らずとるには玄米がいいのですが、表皮がかたいので、白米に比べて浸水時間を長く要し、炊き上がりまでの時間も倍くらいかかります」

 ちなみに、五分づき米は、 白米と同じ炊き方で大丈夫。

「玄米や五分づき米に抵抗があるなら、白米に大豆や雑穀を加えると、ぬかの代わりとなる栄養分が補充され、風味もよくなります。大豆はゆで大豆を、雑穀は市販の雑穀ミックスを使います。大豆と雑穀を一緒に加えて炊いてもおいしいですよ」

 炊いたごはんは、主食でありながら、肉や魚介、野菜といった具材を合わせることで、主菜にも副菜にもなってくれる懐の深さがあるという。

「気軽な混ぜごはんや炊き込みごはん、のっけごはんは毎日の食事に、もち米で作るおこわや、旬の食材を使ったすしは季節感を楽しめるごちそうですね」

「長野県はくるみの産地。旬の時季に1年分まとめて買い、使う分ずつ殻を割って、フライパンでからいりしてから使っています」 撮影/竹内章雄
「長野県はくるみの産地。旬の時季に1年分まとめて買い、使う分ずつ殻を割って、フライパンでからいりしてから使っています」 撮影/竹内章雄
【写真】長野県木曽地方に古くから伝わる保存食「すんき」を使った汁物

 長野でよく食べられている「梅」と「くるみ」を使った“刻み梅ごはん”と“くるみとれんこんの炊き込みごはん”の2品は横山家の定番。

「青い小梅が出回り始めたら、私が作るものの一つに、信州ではおなじみ“カリカリ小梅”があります。私はやわらかい梅干しも漬けますが、この辺りではみなさん、かたい食感のカリカリ小梅を漬けるんです。梅雨から夏のお昼の定番は、カリカリ小梅のおにぎりなんですよ」

 さっぱりとした酸味は、夏バテを吹き飛ばしてくれる。

「朝食用にごはんを炊いて、残ったごはんにカリカリ小梅を細かく刻んで混ぜておにぎりにすれば、抗菌効果でごはんが悪くなりにくい。お弁当にもぴったりですし、梅雨時から夏にかけて、元気のもとであり、必需品です」

 カリカリ小梅は冷蔵庫保存で、約1年もつという。一方の“くるみとれんこんの炊き込みごはん”。長野はくるみ栽培に最適な風土で、古くより良質のくるみを多く産出する日本有数の産地ということで、利用する機会も多い。

「ごはんに具を炊き込むと、素材のうまみがしみ込んで、 ごはんをいっそうおいしく食べられます。炊き込みごはんの米はもち米でも。もち米2合に水150mlと覚えておくといいですよ。腹もちもよくて満足感もひとしおです」