また、若いころの自分と比べて「白髪が増えた、肌につやがなくなった」「昔できていたことができなくなった」など、加齢による当然の変化を受け入れられず、自己評価を下げてしまう。

 さらに「病気になったらどうしよう」「年金で暮らしていけるのだろうか」「伴侶に先立たれたらどうしよう」など、行く末に不安を抱いたりして、うつ状態になってしまうこともあるという。

深呼吸や大笑いで気分を上げる

 意識もはっきりしていて身体も動くのに、幸福感が得られない。そんな「老後うつ」は、隠居したらのんびり悠々自適に……という「幸福な老後の暮らし」を奪ってしまう。

「怖いのは、老後うつをきっかけに、外界との接触が減って、それがロコモティブシンドローム(運動器症候群)を引き起こし、足腰が弱って、寝たきりや認知症の原因になってしまうことです」

 うつから認知症や寝たきりへと至る負のスパイラル。陥らないために、できる対策はあるのだろうか。

認知症と違って、うつは自分の気持ちや行動を切り替えることで解消される場合もあります。例えば、加齢による衰えは、“自分ではどうにもならないことがある”と自然体になって現実を受け入れる。

 また、“〇〇すべき”“〇〇でなければならない”というこだわりを捨て、肩の力を抜いて頑張りすぎないようにする、などです。今まで一生懸命やってきたのだから、そろそろ“いい人”はやめて、もっと適当に生きてはいかがでしょうか」

 普段からマメに深呼吸をして、脳に大量の酸素を送り込む。また、大声でよく笑うようにすると、脳内に「幸せホルモン」とよばれるオキシトシンが充満して、悩みや不安を吹き飛ばしてくれるそう。

 簡単にできることなので、さっそく試してみたい。