5.治療法を自分で決める

 2013年のときに原発不明がんが判明後、再発を繰り返し2015年4月には余命3か月と診断された櫻井英代さん(60)。

 笑いと深呼吸を組み合わせた“笑いヨガ”というイベントに車椅子で参加し、そこで出会った仲間たちに励まされ生きようと決める。身体へのダメージが大きいと医師が反対した抗がん剤治療を願い出て、受ける回数も自分の身体と相談し決めていく。

 ほかにもハスミワクチンによる免疫療法、腹水を取るための生姜湿布や里芋湿布、波動療法やジブリッシュという、意味のない言葉に感情を乗せて吐き出す行為で抑圧感情を解放した。食事にも気を配り、今では主治医から治療をすすめられることもなくなった。

がん生還者は医師から言われるままでなく、自分で治療を決めた人が多い印象。大切なのは“どう治すか”の前に“どう生きるか”ということ。治療による苦痛を回避して今を充実させたい人、家族と1日でも長く過ごしたいから完治したい人、その人の人生観そのものを治療に反映させるべきでしょう」

6.「生かされていること」に感謝

 カリフォルニア大学のロバート・エモンズ教授の研究では、感謝を示すことで免疫が活性化し、痛みへの耐性が高まることが証明されている。

 また脳科学者の西剛志(たけゆき)氏によると、脳にとって最高の言葉は“ありがとう”だそうで、マラソン選手が心の中でありがとうと呟くとタイムが伸びたという実験結果もあるほど。

「インタビューでは、どの方からも必ず感謝の言葉が出てきます。2008年に子宮頸がんに罹患した白駒妃登美さん(59)は、抗がん剤治療を受ける際、それを開発した研究者にまで思いを馳せて、ありがとうと言いながら治療を受けた。ご本人いわく、看護師さんが驚くほど、副作用は軽かったそう」

雑誌『メッセンジャー』は2005年1月に創刊。主にがんを経験された方や医師などの医療関係者を取材
雑誌『メッセンジャー』は2005年1月に創刊。主にがんを経験された方や医師などの医療関係者を取材
【写真】奇跡の回復!「がんサバイバーマラソン」に笑顔の参加者たち