目次
Page 1
ー むくみに息切れ……それ貧血のサインかも
Page 2
ー 中高年の貧血には病気が隠れていることも
Page 3
ー 鉄のとりすぎもNG、基本は食事で摂取

 貧血といえば、急な立ちくらみやめまいを思い浮かべる人も多いだろう。それらの症状に襲われても、「よくあることだし」「少し時間をおけばよくなるから」と放置している人もいるのでは。

 しかし、その裏に思わぬ病気が隠れていることや、貧血が招く重大な病気があることを知っているだろうか。

むくみに息切れ……それ貧血のサインかも

「血液には“全身に酸素を運ぶ”働きがありますが、血液細胞のひとつである『赤血球』がその運搬を担っています。貧血はこの赤血球の数が少なく、働きが悪くなっている状態のこと。

 血液の量には変化がなくても、赤血球が減少したり、赤血球に含まれる『ヘモグロビン』の量が減ることで、身体が酸素不足の状態に陥ります

 そう話すのは、総合内科が専門の秋津壽男(としお)先生。私たちの身体は貧血になると、身体は酸素不足を補うために心臓の拍動を速めて大量の血液を流し、酸素不足を解消しようとする。

 さらに、呼吸を増やして足りない酸素を身体に取り込もうとするため、少し歩くだけで息切れが起こる。

ほかに主な症状として、めまいや立ちくらみなどが発生します。心臓や腎臓が悪くないのに、足などがむくむことも。さらに貧血が進んでいくと、原因は不明ですが無性に氷を食べたくなるという症状も認められています」(秋津先生、以下同)

こんな兆候がある人は要注意!貧血セルフチェック
こんな兆候がある人は要注意!貧血セルフチェック

 急性の場合はこれらの異変にも気づきやすいが、慢性的な貧血の場合は自分で気づくことは難しいという。

「貧血は高山病と一緒で身体が慣れるんです。例えば、貧血ではない人が事故で血の3分の1を失って、輸血の代わりに点滴を補充したら血が3割薄くなります。ヘモグロビンの数値がいきなり3~4g/dl減ると、立ちくらみどころかベッドから起き上がることもできません。

 けれど、めったに肉を食べずに野菜ばかりで、10年や20年がかりで貧血になった高齢女性などは、普通に階段も上がれて農作業もなんなくこなせたりします。進行がゆっくりだと高山病と同じで身体が慣れて病気が発見しにくくなるのです」

 高齢者では、めまいや息切れなどが日常的に起こりやすいため、ますます貧血と自覚しにくい。だからこそ定期的な血液検査が不可欠になる。