コレステロールより要注意な「飽和脂肪酸」
「日本人だけでなく、海外の研究でも卵とがんが関係しているという結果が出ています。過去に世界中で報告された卵と死亡リスクについての33件の研究をまとめて解析した研究によると、卵をもっとも多く摂取するグループはもっとも少ないグループに比べて、すべての死因による死亡リスク、心血管病、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクはいずれも有意な差はありませんでした。しかし、がんによる死亡リスクだけは、20%高くなっていたのです」
なぜ卵は、がんのリスクを高めてしまうのだろうか。
「がんの発症リスクをなぜ高めるのかというメカニズムに関しては、まだ詳しくはわかっていませんが、おそらく卵に含まれる飽和脂肪酸が関係しているものと思われます。卵にはたしかにコレステロールが含まれていますが、飽和脂肪酸という成分も多く含まれているのです」
卵100グラムあたりに含まれるコレステロールは420mgだが、飽和脂肪酸は2840mg。飽和脂肪酸のほうが格段に多いのだ。
「飽和脂肪酸はかなり注意しないといけない食品成分です。フランスにおける大規模調査では、飽和脂肪酸の摂取はすべてのがんのリスクを44%高め、乳がんにいたっては98%高めるという結果が出ています」
飽和脂肪酸はバターやラード、肉の脂身にも多く含まれているが、私たちが日常的によく食べているのはやはり卵だろう。
「卵はとてもいいたんぱく源ですので、栄養学的なメリットは非常に大きいですが、その一方で、食べすぎるとがんのリスクが高くなることは間違いありません。さきほどの日本人女性の調査では、卵を1日に1個食べるグループに比べて、1日に2個以上食べるグループでは、がんによる死亡リスクが3.2倍になっていました。卵はやはり、『1日1個以内』を原則にすることをおすすめします」
いまは2人に1人ががんになる時代だが、逆に言えば、2人に1人はがんにならないということ。できればそちら側に入りたい。がんのことを考えるなら、卵は1日1個までが正解のようだ。
佐藤典宏先生●がん専門医。九州大学医学部卒、帝京大学福岡医療技術学部教授。著書に、がんのリスクを下げてくれる“抗がん食材”を使ったレシピ集『がんにも勝てる長生きスープ』、『がんにも勝てる長生き常備菜』(主婦と生活社)がある。
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がんの発症リスクを上げるのは、卵だけではありません。【関連記事】「がん専門医が警告! がんのリスクを確実に上げる“定番の朝食食材”と“人気のカフェドリンク”」も一緒に参考にしてください。