「白内障は80歳を超えていれば、ほぼ全員に関係する病気です。ただ手術が絶対に必要かというとそうではありません」
そう話すのは眼科医の平松類先生だ。
日々の生活で、ある程度進行を遅らせる
そもそも白内障とは、眼球でレンズの役割を果たす水晶体内のタンパク質が、酸化して白く濁ることで視力が低下する病気。
症状は目がかすむ、二重や三重にだぶって見える、視界が暗くなったり、まぶしく感じたりとさまざまだ。一般的には加齢が原因のことが多いが、同じ年齢でも人により症状の出方は違うという。
「白内障の手術では水晶体を取り出し、代わりに人工レンズを入れるんです。安全性は高いですが、感染症が起きたり大出血したり、乱視が強く出るなどのリスクはあるので、控えたいという患者さんの気持ちもわかります。
平均すると70~80代で手術対象になることが多いですね。老化を抑えれば白内障がまったく進行しないというわけではないですが、日々の生活で心がければ、進行を遅らせることはできるでしょう」
先生がまず気をつけたいというのが紫外線。
「サングラスや紫外線カット効果のある眼鏡をかける、つばの広い帽子をかぶる、日傘を差すなどしましょう」
これは紫外線による酸化ストレスで、白内障の進行が促進されるためだ。
「水晶体はもともと透明ですが、例えるなら卵白のように、熱が加わると白くなるとイメージしてください。つまり熱や紫外線が良くないとされています。実際、北欧に住む人と赤道近くに住む人では、日照時間が短い北欧のほうが、白内障になる年齢が遅いというデータもあります」
物理的な刺激を避けることも大切。目を引っかいたり、ぶつけたりしないこと。
「アトピー性皮膚炎の患者さんは白内障になりやすく、10代や20代で罹患(りかん)することも珍しくありません。そうでなくとも目の違和感を我慢するのは難しいので、目がかゆかったり目ヤニが出やすい、ゴロゴロするなどの症状があれば治療を受けましょう。
花粉症の場合は、帰宅時に服についた花粉を払ったり、すぐに洗顔して部屋着に着替える、空気清浄機を使うなどしていただければと」
寝起きに目をこするのも良くないので、注意したい。