血糖値を上げない食事を意識
日々の食事を改善することも、白内障になるのを遅らせることにつながるそう。
「糖尿病になると合併症で白内障に罹患しやすく、40~50代で手術する方も多いんです。もちろん糖尿病でなくても血糖値が高くなる食生活を続ければ、白内障は徐々に進行します。高血圧や血流が悪いことも原因になりやすい」
小麦粉など血糖値が急上昇する炭水化物はなるべく控えたい。もし摂取するなら運動の前後にすれば、身体に必要なエネルギー源になり、血糖値の上昇を抑えられるという。
「小麦粉よりは全粒粉のパン、白米よりはもち米や大麦をまぜて食べるのが良いですね。食事でいうと、老化や糖尿病の合併症の原因のひとつである、終末糖化産物AGEsという物質が良くないという情報もあって。
これは焦げたものやキツネ色の揚げ物などに含まれます。あくまで参考程度で構いませんが、調理するなら焼く・揚げるよりは煮るほうが良いですし、食べ方にも気をつけましょう。
体調管理をして運動をすること、太りすぎず痩せすぎず、適正体重に保つことも重要です。このような老化を防ぐ生活は健康にも良いですし、続けることで一生見える目をつくっていけるでしょう」
ちなみに、白内障の進行を抑えるといわれる目薬も存在するが、効果はいかほどなのか。
「ピレノキシンという処方薬や、クララスティルという海外の目薬を個人輸入する患者さんが多いですが、いずれも効果は限定的。これらの目薬の医学的なデータも、比較的昔に研究されたものしかなく、情報はざっくりしています。効果は実際にはあまりないかもしれませんが、予防的に点眼するのは悪くないでしょう。
輸入目薬が良いという人もまれにいらっしゃいますが、どちらも効果に大差はないです。しかし輸入目薬でトラブルがあったときは患者さんの責任になるので、処方薬を使うのが安全でしょうね」
手術に対しては、医師の中でも積極派と消極派に分かれるそうだ。総合病院で実際に手術を行う医師ほど積極派で、地元のクリニックなどで自ら手術を行わない医師は、経過観察をすすめる傾向があるという。
「症状が悪化するとその後の治療に苦心しますし、手術で早く治そうという考えもわかります。一方で手術を避けたい患者さんの気持ちも酌みたい。日本の医療制度は、総合病院で手術や大きな治療をして、あとは開業医に診てもらうというシステムです。
ですので、手術を希望しないのであれば地元のクリニックで経過観察を続けましょう。網膜剥離や緑内障、黄斑変性などほかの病気が潜んでいる可能性もあるので、少なくとも半年から年に1回は眼科でチェックしてください」