「静岡市プラモデル計画」と連携した「灰皿プラモニュメント」

静岡市に設置された「灰皿プラモニュメント」
静岡市に設置された「灰皿プラモニュメント」
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 その他、事例集の中でユニークだったのは、「分煙以外の機能を付加した整備事例」。まずは静岡市の例を見てみよう。全国のプラモデル製造品出荷額の約8割を占める静岡市では、「静岡市プラモデル計画」と名付けたシティープロモーションの一環として、市内各所に「プラモニュメント」を建てているが、そのうちのひとつに吸い殻入れの機能も果たす「灰皿プラモニュメント」を設置した分煙施設がある。

 プラモニュメントとは、公衆電話やポストなど、街の中のさまざまな公共物を、プラモデルの組み立て前のパーツに分解したモニュメントのことで、灰皿プラモニュメントは10基目。非喫煙者には縁遠い喫煙所に特産品のPR機能を持たせるナイスなアイデアだ。

和歌山市駅前の喫煙所。市の取り組みをPRする掲示板を設置(和歌山市HPより)。
和歌山市駅前の喫煙所。市の取り組みをPRする掲示板を設置(和歌山市HPより)。

 他にも和歌山県和歌山市は、喫煙所に外国人観光客向けの多言語案内板や市の取組などをPRする掲示板を設置した分煙施設(民間事業者からの寄贈)を、大阪府八尾市では、市が配信する生活応援アプリや地元の名産品「河内木綿」の文様をPRしつつ、防災備品を格納できるコンテナを備えた分煙施設を設置している。

 全国各地で、その土地の特徴をアピールしたものや住民サービスと一体化したものなど、工夫を凝らした分煙施設が誕生している。

喫煙所の設置と改善を積極的に進める千代田区

 地方自治体における禁煙対策の先駆者といえば、2002年に全国に先駆けて条例を定め、路上喫煙に罰則(過料2000円)を設けたことで知られる東京都千代田区だが、同区でも率先して喫煙所の設置を進めている。先に武蔵野市の例で取り上げた「喫煙トレーラー」も2019年に導入済で、今もコワーキングスペースなどを備えた区の施設『ちよだプラットフォームスクエア』(東京都千代田区神田錦町3-21)で稼働中だ。

「トレーラー型を採用したのは、2年に1度、周辺地区で開催される『神田祭り』で神酒所を設置するため、公衆喫煙所を移動する必要があるからです。トレーラー型は状況に応じて移動できるのが大きな特徴だと思います」(担当者)

 なお、現在は撤去されているが、「このちよだプラットフォームスクエアの『喫煙トレーラー』に二者択一の設問を記載し、選んだ設問箇所に吸い殻を捨てられる灰皿を試行的に設置」(担当者)したこともあり、利用者が少しでも楽しく喫煙所を利用できるようにと、さまざまな工夫を凝らした取り組みを行っているようだ。

 しかし、同区によれば、2022年まで概ね順調に減らしてきた喫煙違反者への過料件数は2023年に反転、増加に転じたという。これは外国人観光客などの来街者の増加と『加熱たばこ』の路上喫煙も罰則対象にしたことが要因で、時代の変化とともに、さらに喫煙対策の必要性が増しているのは間違いない。

 千代田区には現在、『千代田区公衆喫煙所設置助成制度』を活用して設置された78か所の他、都営喫煙所が1か所、区営喫煙所が5か所の計84か所の喫煙所がある(2024年12月末時点)。

 この制度は新規の喫煙所設置経費については700万円を上限に、5年経過後の更新経費として300万円を上限に助成金を出すだけでなく、賃料または賃料相当額の10割と諸経費の8割を合わせて年間264万円を上限に補助するという、全国でも踏み込んだもの。これにより、民間の店舗などを改修し、喫煙所にする例も増えてきているのだ。

 設置後、空気環境測定を実施し、改善が必要な喫煙所には脱臭機や無水灰皿の設置などの改善指導も行うなど、喫煙所の質の担保にも注力している。