音楽にプラスして、さらに自律神経を整える
・呼吸を意識
呼吸と自律神経は切っても切れない関係にある。呼吸が整えば自律神経も整い、呼吸が乱れれば自律神経も乱れる。「ゆっくりと息を吸ったら2倍の時間をかけて吐く“1対2の呼吸”がおすすめ。呼吸は鼻からでも口からでもかまいません」(小林先生)
・3行日記
夜、1日の終わりに「今日いちばんの失敗」「今日いちばんの感動」「明日の目標」の順に、それぞれ1行ずつ書いていくのが3行日記。「振り返りの時間を作ることは、呼吸状態をよくすることに直結します。音楽を聞きながら書くと、さらに効果的」(小林先生)
・タッピング
「ゆったりとした一定のリズムで、頭や顔、手をトントンとやさしく叩くタッピングも有効です」(小林先生)。人さし指と中指、薬指を立てて頭の後ろから前までタッピング、次に顔の順でやってみよう。人にやってもらっても気持ちがいい。
【解説】自律神経の仕組みについて
そもそも自律神経とは? 小林先生によると、
「寝ている間も呼吸が途切れず、血液が全身に送られ、内臓を動かし続けていられるのは自律神経のおかげ。臓器をコントロールし、生命活動を支えているものこそが、自律神経なのです」
自律神経には“交感神経”と“副交感神経”があり、「自動車でいえば前者がアクセル、後者がブレーキに当たります」と小林先生。アクセルを踏めば車のスピードが増すように、交感神経の働きが高まると血管が収縮、血圧が上昇して気持ちが高揚する。逆に副交感神経の働きが高まると、血管がゆるんで血圧は低下、ブレーキを踏んだように穏やかな状態となる。
「身体も車と同じ。アクセルとブレーキがきかないと運転がうまくいかないように、2つの神経がバランスよく活発に機能することが大切なのです」
例えば、ストレスなどで交感神経の働きばかりが高まると、血流は悪くなり、免疫力も低下して疲れや頭痛、めまいなどの諸症状が見られるように。するとさらに不安やイライラが募り、ますます症状が悪化……。悪循環に陥ってしまう。
「心と身体の不調は相互に影響し合うもの。その解決には自律神経のバランスを整えることが欠かせません」
<プロフィール>
小林弘幸先生
順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手やアーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス指導にかかわる。著書に『聞くだけで自律神経が整うCDブック』シリーズ(アスコム)など