“マザコン”彷彿させるお店での接客
「本物志向で、内装にはかなりお金をかけていました。わざわざイギリス人建築家を招き、現地の建築資材を使って仕上げたんです」(前出・スポーツ紙記者)
こだわりの詰まった店内は大盛況。2階は自宅になっていたので、毎晩のように自ら接客した。
「店内にはアメリカのジャズが流れていましたね。ワインは現地で調達したフランス産のもの。自分が気に入ったワインを提供したかったんですよ。本格的なのに価格は良心的でしたから、人気店となったのは当然です。
しかも藤村さんが自ら店に立って“いかがですか?”とテーブルを回って話しかけてくれるんですよ。客が帰るときは、見えなくなるまで店頭に出て見送っていました。昔、学校に行くときにお母さんにそうしてもらったことに倣っているそうです」(当時の常連客)
“マザコン”と公言していた藤村さんらしい話だ。
「彼とは長い付き合い」だという、旅行会社社長の塚田伸夫さんは、オヒョイズで一緒に飲んだ日々を懐かしむ。
「店で友達と飲むことが大好きで、ときには自腹を切って飲ませていました。“美味しいワインがあるから飲みな”という感じでタダで飲ませていましたよ」
自分の好きなワインをともに味わうことに楽しみを見いだしていたらしい。
「一緒にいた人たちが僕に“ワイン飲ませてよ”とたかってきたことがあったんですよ。そのときも、“俺がごちそうしてやるから”と、僕の友達にワインをプレゼントしてくれました。人の喜ぶことは何でもする人でしたね。あんな人、ほかにいないですよ」(前出・塚田さん)
友人との憩いを優先する藤村さんだったが、理不尽にも自らは病気に苦しめられた。
「53歳のときに肺気胸にかかり、片肺を摘出しています。3年後には胃ガンと診断され、手術で胃の3分の2を切除。64歳のときには大動脈瘤が見つかりました」(前出・スポーツ紙記者)
胃ガンが発覚したときは5年もの間、周囲の人間に隠し通した。