「16年ほど前、母が更年期障害からうつ病になってしまったんです。現代でもサポート態勢がないことに驚いて、それなら作ろうと2014年に、このちぇぶらを設立しました」
フィットネスインストラクターの経験があったため、「運動で心と身体を整える」ことに着眼した。
更年期の症例のひとつであるホットフラッシュは、電車の中や会議中など、いつ、どこで起こるのかがわからない。そのため、外出を恐れた女性が、“ちぇぶら”を知るまでのおよそ4か月間、家にひきこもっていた例があるという。
「アンケートを取ると、“あんなものヒマな人がなるのよ”、“気のもちよう”などの声がありました。同性同士でも更年期への理解が低いのです。身体の移り変わりは目に見えない。だからこそ正しく知ることが大切です」
毎月の生理が終わる段階になったら、身体の不調が出てくるなんて……女って大変!
更年期は心と身体と向き合うチャンス
でも、永田さんはこうもいいます。
「いいえ、女性は男性より恵まれていると私は思います。女性は毎月、体調の波を経験しているぶん、身体の変化に気づきやすいわけですから。いわば更年期の不定愁訴は、身体が変化していることを教えてくれるシグナル。実は男性にも個人差は大きいですが、女性の更年期と同じくさまざまな不快症状が出ることがあります。しかし、男性は女性のように日々の体調の変化に慣れておらず、身体のサインを見逃して我慢してやり過ごしてしまい、ガクッとくる方が多いようです」
それもなんだか大変そう……。女性でよかった!?
共通して通過する、身体のマイナートラブル。それらを少しでも解消するため、永田さんは家や外出先、信号を待っている間や会議中でも、トライできる体操を考案した。
「数秒間、深呼吸をしたり、肩甲骨を動かすだけで、視界がパッと明るくなります。美容効果も得られますので、一石二鳥!」
<profile>
永田京子さん
NPO法人ちぇぶら代表理事。更年期フィジカルケアインストラクター。健康知識とフィットネスによる対策を融合させた体験型のプログラムを開発。企業や自治体などで出張セミナーを実施している。女性のエンパワメントを引き出す講師として定評がある。