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1月後半から飛び始める花粉。今年の飛散量は多いとの予想だ。「今日は鼻水、くしゃみがひどい!」となると思わず薬に頼りたくなるものだが、鼻炎薬は飲んだあとに眠気やだるさを感じやすい。
「サラサラした鼻水や、くしゃみ、せき。花粉症状が“つらい”と感じたときはすでに重症のこともあります」と話すのはアレルギー内科専門医でもある、いりたに内科クリニック院長の入谷栄一院長。
「ひどい状態になるまで我慢してから、薬を飲んでおさえようとすることは焼け石に水なんです」(入谷栄一院長、以下同)
集中力や判断力が下がる“鈍脳”は防げない
「鼻炎をおさえる薬、特に“抗ヒスタミン薬”の服用は、眠気やだるさを含む、集中力・判断力・作業能率が低下した状態を引き起こします」
花粉などアレルギーの原因物質が鼻の粘膜に付着すると、ヒスタミンというアレルギー誘発物質が放出される。これが粘膜内のある物質(H1受容体)と結合し、くしゃみや鼻水といったアレルギー症状が起こる。抗ヒスタミン薬は、放出されたヒスタミンと粘膜内の物質との結合を阻止することで、鼻炎症状が出るのを抑える。
「しかし、体内だけでなく脳内にもヒスタミンが存在するのです。これは集中力や判断力、作業能率、覚醒の維持という重要な役割を担っており、アレルギー性鼻炎症状とは全く無関係であることがわかっています。脳内にまで抗ヒスタミン薬が入ってしまうと、この脳内にあるヒスタミンの働きも妨げられてしまい、集中力や判断力、作業能率が低下するなどして、“鈍脳”が起こるのです」