目次
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ー 急な頭痛に要注意! 50代女性のケース
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ー 閉経した女性で身体が小柄で遠視の人は要注意
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ー ただの疲れ目だと放置しない

 激しい頭痛と吐き気に襲われ救急車で病院に運ばれ、脳卒中を疑われて検査するも、どこも異常なし。やまない吐き気に苦しんでいると、気づいたら目が見えなくなっていた―。そんな「危険な緑内障」があるという。特に、小柄で遠視の高齢女性は要注意。とっさの判断を間違えると失明することも……。

急な頭痛に要注意! 50代女性のケース

 50代女性のAさんはある日の夕方、自宅で突然、激しい頭痛や吐き気に見舞われた。脳梗塞を疑った同居家族に付き添われて救急外来を受診。

 すぐに頭部のCT検査を受けた。ところが、検査結果は異常なし。脳の問題ではないことがわかり、目が見えにくいという異常もAさんが訴えていたことから眼科を受診することになった。

 眼科医がAさんの目を調べると、Aさんの左目の眼圧がきわめて高く、目の表面に存在する角膜はパンパンにむくんでいた。そこで医師はすぐに眼圧を下げる点滴をし、レーザーによる治療が行われた。幸い、Aさんの眼圧は低下し、頭痛や吐き気の症状はおさまった。

 このときAさんの目に起こっていたのは「急性緑内障」という発作だ。

 急性緑内障は一気に眼圧が上がり、目の血流を止めてしまう危険な病気。Aさんは早期に治療を開始できたため大事に至らなかったが、脳の病気が疑われ、目の検査にたどり着かず、失明する人もいるという。

急性緑内障を起こす人は、アジア人が8割以上を占めます。これはアジア人の目の構造が急性緑内障を起こしやすいためです

 そう教えてくれたのは、アメリカの大学施設で眼科医として活躍している和田伊織先生だ。日本人にも起こりやすい急性緑内障。よく聞く緑内障とはどう違うのか。

急性緑内障は、目の中の隅角という部分が閉じることで目に栄養を運ぶ房水という水が外に排出されずにたまってしまい、目に非常に強い圧力がかかっている状態です。普通の緑内障は徐々に流れが悪くなるのに比べて、急性緑内障は出口が突然閉まってしまうので一気に眼圧が上昇します。

 血流が止まり、目の神経もどんどん傷ついていく非常に危険な状態になるのです。目の血管は脳にもつながっているので、脳の神経や血管が圧迫されることで頭痛や耐え難い吐き気が起こります

 よくある一般的な緑内障は進行がゆるやかで、数年かけて違和感に気づき眼科を受診することができるが、急性緑内障は突然眼圧が上がり、眼球周囲の神経や血管が圧迫される。

 それらにダメージが加わり続けると元に戻らないため、すぐに減圧することが必要になる。速やかに眼圧を下げる目薬や点滴を開始し、閉じてしまった水の出口を切開する。