●日常的にやっていたことをやめてしまう
例えば仏壇の管理を急にやらなくなる、毎週欠かさずに見ていた大好きな時代劇を見なくなるなどがあげられる。「これまで楽しんでしていたことが徐々にできなくなっていくんです」
●新しいことができない
そのため、同じことを繰り返しがちにもなる。
「発症すると目の前にある、今の状態で理解できるものにしか注目できなくなります。
時代劇ばかり見るのは新しいドラマの内容を理解できないため。カラオケで懐メロばかり歌うのは新しい曲が覚えられないからなんです」
ただし、昔の番組でも“昼間の再放送を録画して見よう”と計画して行動すれば、それは新しいことの挑戦になり、予防にもなるという。
●気持ちが抑えられなくなる
急に怒ったり、理解力が低下するため、わからないことでパニックになって腹が立ったり、感情が抑えられなくなったりする。
1日6時間以下の睡眠が発症の鍵に
加藤院長は、認知症の進行には生活習慣が大きく影響していると指摘する。
まずは『複雑な動作』。
「買い物の支払いで電子マネーやクレジットカードを使うことが増えて、おつりの計算をしない、小銭を出さないと認知症の進行に影響します」
健常人でも普段から頭の中で計算をしないと脳の一部がマンネリ化する。数字に限らず、外国語や漢字でも使わないと忘れていくという。
次に『睡眠不足』。
「睡眠不足は特にアルツハイマー型認知症の発症、進行のハイリスクであることが研究で明かされています」
加藤院長は、アメリカの研究者スピラ博士らが行った検査について説明。睡眠時間が「6時間以下」「7時間以上」「その間」でそれぞれアンケートをとり、被験者の脳の状態を調べたものだ。
「結果は睡眠時間が6時間以下の人は脳内にアミロイドβ(アルツハイマー型認知症患者の脳内に増加しているペプチドという物質)の沈着が、7時間以上睡眠をしている人に比べて圧倒的に高かった」
睡眠はアミロイドβなどの老廃物を頭の髄液から排出させるためにも重要だという。加えて記憶を定着する仕組みであることも研究によって判明してきた。
「寝だめもダメです。継続して眠り、ノンレム睡眠(深い眠り)状態になることが大切。正しい睡眠は日中の認知活動を上げます。24時間で睡眠と活動のリズムをシーソーのように交互にとるのが認知症予防には非常に重要です」