厚生労働省に報告された市販薬の副作用は重症例だけで5年間に400例を超えているという。特に医療用医薬品が転用されたスイッチOTCは作用が強いぶん副作用も強い。松田医院 和漢堂院長の松田史彦医師は実際はその数倍の方たちに副作用が出ているだろうと警鐘を鳴らす。
「これは私の体験であり、また多くの医師が感じていることだと思いますが、一生懸命に治療しているのに効果が上がらないことがあります。なぜなのか考えて出た答えが、薬をたくさん飲んでいるせいかもしれない、つまり薬害ではないかということです」
病気を治すはずの薬が、治療の妨げになっている、そんなことがあるのだろうか。
「ほとんどの薬は化合物であり、人間の身体になじむわけがなく、あらゆる薬は基本的には毒なんです。しかし、その毒が必要なこともあるわけです。激しい痛みや苦痛を抑えるために、一時的に薬を飲むのは、治療上、絶対に必要です。
でも、ちょっとした不調なのに長期間飲み続けるのは、やめたほうがいい。薬の作用は目的のところだけに効くわけではなく、全身の細胞に及ぶので、副作用となって、別の不調をきたすわけです。本当に必要な薬だけを飲むようにすれば、9割は減らせるでしょう」
コレステロール値は下げなくてもよい
健康診断で『コレステロール値が高い』『脂質異常症である』と言われた人はけっこういるはず。結果表がある人は、見比べながら、飲んでいる薬がある人は、薬の名前を確認しながら、これから先を読んでいってほしい。
日本動脈硬化学会では、総コレステロールが220mg/dl以上は高コレステロール血症としている。そしてコレステロールが高いと動脈硬化が進み、心筋梗塞になる危険があると言われて、コレステロール値を下げる薬を医者からすすめられることになる。しかし、この数値を50歳以上の女性に当てはめたら、なんと半数が該当してしまうのだ。
更年期の前後にコレステロール値や血圧が上昇するのはよくあることで、ある意味、自然なこと。特殊な病気を除いて、ほとんどの場合は病気ではなく、薬を飲む必要はないと松田医師は言う。
「コレステロールを下げる薬は、筋肉が溶ける副作用があります。ほとんどは肩こり、足がつる、疲れやすいなどありふれた症状なので、重症の場合を除いて副作用だと気づいていない方が多いのです。さらに免疫力の低下や感染症、がんなどにかかりやすくなるとの報告もあります」
更年期以降の女性なら、コレステロール値は高めでも問題なし。
また、中性脂肪が高めの人のほうが死亡率が低いという興味深い研究データもある。