血圧を下げるには生活習慣の改善を
人間の寿命を縮める可能性がある恐ろしい高血圧。「大事なのは、生活習慣を改善し、傷ついた血管の壁を癒して血圧を安定させること。ただし、高血圧対策についても誤解が多いので注意が必要です」。
そこで、「血圧を最速で下げる正しい方法」を具体的にご紹介します。
【1】減塩で下げる→食べる量で調節を
まず知っておきたいのは、減塩が効果的ではない人もいること。
近年の研究により、塩の摂取で血圧が上がるかどうかは、遺伝子で決まることが明らかに。「ある研究データでは、日本人の約半数は、塩を多く摂取しても血圧が上がりにくいという結果が出ました。塩を過剰に摂取すれば、誰でも一時的に血圧が上昇します。だからある程度の減塩は必要ですが、1日の塩分摂取量の上限を5〜6gとするような厳しい減塩は、効果的でない人もいるということです」
ただし、すでに血圧が高いと指摘されている人は、「例外なく減塩すべき」と奥田先生。ポイントは、味つけを薄くするより、量を減らすこと。例えば減塩味噌を使っても、濃い味に慣れた人は物足りなく感じてつい多めに入れてしまい、味噌汁1杯に含まれる塩分量は、普通の味噌を使った場合と大差ないことも。
「それなら味噌の種類を気にするより、味噌汁の量をお椀半分にすれば身体に入る塩の量を確実に減らせる。食事を腹八分目にすると、味つけはそのままで塩分を20%カットできます」
塩を身体から早く追い出す働きを持つカリウムをとるのも効果的。高血圧の予防には、男性は1日約4・3g、女性は約3・6gの摂取が必要ですが、ほとんどの人は全く足りていないのが現状です。
「野菜や海藻、大豆、きのこ、いも類などのカリウムを多く含む食品は、食べる量を現在の1・5倍から2倍を目標に増やすといいでしょう」
【2】減量で下げる→減量は1か月2kg まで
塩の摂取だけでは血圧が上がりにくい人もいるという意外な事実を紹介しました。それでも高血圧患者が減らないのは、ほかの原因で高血圧になる人が増えているから。そのひとつが「肥満」です。特に脳梗塞は、メタボによる高血圧が原因で発症するケースが増えています。肥満による腹囲の基準値(男性は85センチ未満、女性は90センチ未満)を超えると、そうでない人に比べて高血圧になるリスクは2・3倍! 当てはまる人は今すぐ減量しましょう。
「理想は20歳のときの体重に戻すことですが、現実的な目標として『身長(m)×身長(m)×25=目標体重(キロ)』を目指してください。毎月2キロまでの減量なら身体に負担はかかりません」
減量の基本は摂取カロリーを減らすこと。清涼飲料水をやめてお茶にかえる、おかずは一汁二菜にする、平日は晩酌しない、お菓子や果物は3日に1度にするなど、ルールを決めて実行しましょう。