命にかかわる病気や認知症の原因にも
災害特有の病気もある。「たこつぼ型心筋症」もそのひとつ。メカニズムは未解明ながら、この病気は、災害時の急激なストレスが原因とされる。交感神経が一気に優位になってアドレナリンが分泌され、血管が収縮して起きるとみられる。
そして今、全世界がさらされているのが、新型コロナウイルス感染症という災害。
「感染症の集団発生・流行」は、国際的にも災害とみなされている。コロナ禍は1年以上続き、親しい人とのおしゃべりや趣味が制限される状態が続いている。前述した“幸せホルモン”のセロトニンに加え、“やる気ホルモン”のドーパミンも不足し、人生の楽しみを奪われた気持ちに……。
「糖分をとるとセロトニンが、油脂をとるとドーパミンの分泌が促されるので、甘いものや油っこいものが無性に食べたくなる人も多いです」
太る人が多い一方、ステイホームによる運動不足で筋力が落ち、やせる人も。上のチェックリストの2項目めで、立ち上がれなければ要注意だ。
「ストレスが続くと不眠になり、不眠は抑うつ症状を引き起こす。抑うつ症状を放置すると数年で物忘れがひどくなり、数十年で認知症に進行するといわれます。脳のダメージはあなどれません」
災害不調を知り、コロナ禍を乗り切り、いつくるとも知れない大災害に備えよう。
では、災害不調を起こしやすいタイプは?
「40代後半以降の女性は、女性ホルモンの分泌が低下。子育ても仕事も頑張ってきた人が、精神的に落ちることが多いので要注意です」
40代から50代女性は要注意世代
最近、工藤さんが気づいたのが、女性で災害不調を訴える人には、実は貧血やLDL(悪玉)コレステロール値が高いケースが多いこと。両者に共通するのは、血流。貧血があると、血流が悪くなる。そうすると身体は交感神経を優位にして血を送り出そうとするため、焦燥感や不安感が出やすくなるのだ。
LDLコレステロール値が高い人は血がドロドロになり、やはり血流が悪い。貧血の人は鉄分を補い、LDLコレステロール値が高い人は、その治療をするだけで、災害不調は軽くなるという。