まじめな人ほどストレスたまりがち
同じ出来事を経験しても、性格により受け取り方は違う。責任感が強い人は、災害時にストレスを抱えやすい。
「教育関係者や医療職に就く人は、まじめな性格が多いからこそ注意して。デスクワークが多く、頭で判断することが多い人も要注意。完璧主義な人は、完璧にできないと自分と他人の両方にストレスを感じてしまう。気配りができる人は、感謝されることで喜びを得ているため、その対象者を失うとストレスが大きい」
災害時は助け合いが多い反面、援助を断られることもある。そうすると、気配りできる人ほど、自分を否定されているように感じてしまう。
「ふだん家族に悲しみや怒りを見せない人も、災害時はとくにストレスがたまりやすい。物事を悲観的に考えがちなタイプの人は、何かをやる前にあきらめてしまいがちなので、ささいなことが壁に感じられてしまい、災害不調を起こしやすいです」
そして、どんな性格の人であっても、強いストレスを感じると、思考や意欲を司る前頭前野の機能が低下。感情や衝動の抑制がききづらくなる。ふだんは穏やかで優しい人が、イライラを抑えられなくなるケースも……。
対処は早いほうがよい。思い当たる人は、次ページの災害不調解消法を試してみよう。
こんな人はとくに注意!
性格や生活スタイルから危険度をチェック。当てはまる数が多いほどハイリスク!
・責任感が強い
・物事をマイナスに考えがち
・仕事や家事は完璧でないと気がすまない
・感情があまり表に出ないタイプ
・気配りができる、気がきくと人から言われる
・長時間のデスクワークが多い
・教育関係や医療職など、人と関わることが多い
Case1……50代男性・Aさんの場合
〜温厚な性格が一転、DV気質に〜
住んでいる地域が水害にあい、床上浸水したAさん。災害前は、職場や地域、家庭でも、ニコニコして温厚で、怒ることがほとんどなかったAさんでしたが、水害後、「また同じような災害が起きたらどうしよう」と強い不安に襲われるようになりました。やがてちょっとしたことでイライラするように。家族を叱りつけるなど、つらく当たることが増え、暴力をふるうようになってしまいました。
Case2……50代女性・Bさんの場合
〜義理の母の介護で耳鳴り、めまいが〜
持病がある義母を介護中のBさん。コロナ禍以降、「もし自分が感染したらどうしよう。義母にうつしてしまったら……」と不安は募るばかり。やがて義母と口げんかが増えました。けんかをした日は動悸がして眠れません。そのうち、日中、耳鳴り、めまいに悩まされるようになりました。良好だったBさんと義母との関係は悪化し、家族全体がピリピリムードに。義母の持病も悪化してしまいました。