昔ながらの和食でタンパク質を!
「年齢を重ねたら、身体にいい栄養素よりも脳にいい栄養素に目を向けてください」
と、栄養に関する著書もある佐藤先生。例えば、運動時にとることがすすめられているアミノ酸のBCAAを運動せずに多くとると、脳の神経伝達物質となるアミノ酸、トリプトファンなどが脳に入りにくくなる。
「身体と脳の栄養は同じではありません。認知症予防には脳と身体の両方の栄養が必要で、高齢になると脳の栄養を意識したほうがいいでしょう」
脳と身体の両方にいい食事のポイントは、タンパク源をバランスよくとること。
「肉、魚、大豆、乳製品、卵、これが5大タンパク質といわれています。この中から毎食2種類以上とりましょう」
肉の種類は何がいい?
「鶏むね肉にはイミダゾールペプチドという、身体と脳の両方に働く抗酸化物質が豊富に含まれています。特に地鶏の“熟成阿波尾鶏”には、イミダゾールペプチドがブロイラーの2倍以上含まれているので、よく食べています。脳は有酸素運動をしているので、活性酸素がたくさん出ます。抗酸化物質は脳の健康に非常に重要な物質なのです」
脂質ではDHA、EPAなどのオメガ3、それからアラキドン酸などオメガ6も必要だ。さらに、
「野菜、海藻、キノコ、発酵食品、薬味、酢の物を積極的にとります。つまり、昔ながらの和食ですね。ごはんと味噌汁、タンパク源は5種類中2種以上、野菜、海藻、キノコを使用したおかずをとります。薬味(ネギ、大根おろし、わさび、からし、しょうがなど)を利用し、デザートに果物をとります。
キノコは、動脈硬化予防で知られるシイタケ、認知症予防のヤマブシダケがオススメ。発酵食品は、味噌、漬物、ヨーグルトがいいでしょう」
佐藤先生は、野菜に強いこだわりが。
「野菜は、自宅の屋上で作り、半分以上、自給自足をしています。残留農薬と残留肥料の問題があるからです。特に残留肥料は胃内でニトロソアミンとなり発がん・糖尿病のリスクが上がります」
自宅で野菜を作ったり、毎食、バラエティーに富んだ和食を食べるのは、現代人にとっては難しいのでは?
「サプリメントを利用してもいいですよ。脳のためにはDHA、EPA、レシチン、イチョウ葉エキス、マルチビタミン・ミネラル、アラキドン酸、抗酸化物質(コエンザイムQ10、アントシアニン、カロチノイド類)が入っているものを選んで」
昔ながらの和食、足りないときはサプリメントを利用して人生100年を元気に乗り切ろう!
野菜は自宅で栽培
自宅の屋上で野菜を収穫。すべてプランターで栽培。ピーマン、トマト、ナスなど数十種類の野菜を毎年収穫。昨年はミニトマトが1686個、大根は94本、タマネギ142個などプランター栽培とは思えない。写真は収穫野菜で漬けた漬物
整形外科/健康支援科部長。宮崎医科大学卒業。昭和大学医学部統合医学科講師兼任。日本ビタミン学会代議員。ビタミン外来にて脳の栄養学を指導。
(取材・文/山崎ますみ)