保険に無駄なお金を払ってはいけない!
病気やケガなど万一の備えに必須とされる保険。大江さんはこの考えにも異を唱える。
「シニア世帯にとって保険はムダな支出の筆頭に挙げられます。私は42歳のときに生命保険と医療保険をやめ、69歳の現在まで未加入ですが、何ら支障ありません」
生命保険は保険を掛けている本人が亡くなった場合、残された家族が生活に困らないようにするためのもの。
「子どもが小さかったり、高校生くらいまでの子がいるなら生命保険も必要です。でも独立していたらもはや手はかからないわけですから、生命保険はほぼ不要となります」
一方、医療保険は医療費を賄うためのものと思いがちだが、それは誤解。
「治療費は公的医療保険である『健康保険』などで賄われます。社会保険や国民健康保険などです。仮に自己負担が高額になっても高額療養費制度があるため、自己負担額は少なくてすむ。よって私は健康保険だけで十分と考えます」
老後の安心のためなら貯蓄したほうがおトク
民間の医療保険は公的医療保険では賄えない部分、入院時の食事代や差額ベッド代などをカバーするのが役割に。
「でもそれは貯蓄で賄えばいい話ですよね。月3000円の医療保険を20年加入したら総額72万円。対して仮に5日間入院し、1日1万円の入院給付が出ても5万円です。差額を考えてみてください。保険は“下りる”、貯金は“下ろす”と言いますが、その響きから、保険は何もしなくてももらえると勘違いしてしまう面もあるのかもしれません」
そんな大江さんが備えるべきというのは損害保険。
「起こる確率は低いけれど、起こったら到底自分の蓄えでは賄えない。例えば車の運転による人身事故といった事態に備えるのが保険の真の意義です。最近だと個人賠償責任保険は必要かもしれません」
■老後の保険、これはムダ! ×生命保険 ×医療保険 ◯社会保険 保険に入る必要があるのは、「必要となるお金が自分の蓄えでは賄えない」場合のみ。老後は生命保険も医療保険も当てはまらなくなる
■これは入っておくといい! 個人賠償責任保険 日常生活で他人をケガさせたり、他人のモノを壊してしまうなど偶発的な損害を補償する保険。数百円から加入できる。自転車をよく利用するなどリスクが想定される人に向く