「男性の側も女性の側も、過去に結婚経験などある人がほとんど。それで、籍を入れる前に『身体の相性を知りたい』なんて、直球の話をされることもあるんです。当事者同士にまかせますが」(結婚相談所スタッフ)

 実は、今回、殺人事件として立件されたうちの被害者たちは、そうした千佐子被告の手練手管に飲み込まれていったようだ。被害者の一人Bさんを知る友人の話だ。

「Bさんはお金は持っていたんだけど、質素な生活をしていて、たまの楽しみが、実は風俗だったんです。その人が結婚するんだって聞いた時には、『あっちのほうはどう?』と聞いたら、『そりゃあ、いい女だよ。積極的だ』って。それで、みんな『よかったね』って言っていたんですけどね」

 結婚したと聞いてから数か月後にBさんは亡くなったということを、その友人は保険
関係の人の調査で聞いたという。

 また別の被害者Cさんは、千佐子被告と会って初めて「幸せ」を知ったという。Cさ
んの近所の人の話だ。

「会社勤めをしながら、農業をされていた人で、すごい真面目だったんですよ。判で押したような生活をしている人で。ずっと母親と二人で生活していて独身でした。母親が亡くなって、定年で職を辞めたのを期に『結婚したい』と言っていて、その条件は最初は『40代くらいの年下』だったらしいのですが、見合いをした同世代の千佐子に骨抜きにされていたようです。

 なんだか、結婚をして生活が変わったようで農協の関係者のほうに『オレは今が一番幸せだ』って言っていたそうです。でも、その数か月後にあっけなく急死してしまった

 他に親族がいないその男性の四十九日もそこそこに財産の整理をして千佐子被告は消えて行ったという。

 一連の事件が2015年に発覚して、千佐子被告本人はマスコミの取材を受けては、男たちのことも赤裸々に語っていた。当時、被告の話を聞いた記者が語る。

「千佐子被告が言うには『私は夫になぜか先立たれてしまう』というのですが、結婚していた男性との夜の生活について『みんな営みはあるわよ。みんな勃つんだから』と力説して、取材場所の喫茶店で話をされた。自分の母親世代の女性にそんなことを言われて困惑してしまいました」

 その時の被告のファッションはロングのTシャツに下は黒いスパッツだっという。年齢のわりには身体の線が崩れていない、女を意識した感じだったとか。しかし、そこで語った自身の生い立ちは、そうした性を武器に生きる女ではなかったようである。

 出身高校は故郷である北九州屈指の進学校である県立東筑高校だ。有名どころでいえば故・高倉健さん、近鉄、オリックスで監督を務めた故・仰木彬さんも輩出した高校。彼女は高校時代エリートだったのだ。