人気のネギトロは、トランス脂肪酸を含む植物油脂がたっぷり。子どもに人気のサーモンはダイオキシンが残留。食の安全が叫ばれる一方、安価な危険食材があふれている回転ずしもある……。裏事情を知って賢く選び、正しく楽しむ知恵を身につけよう!
回転ずし店に入って、まずはお茶をひと口。どのネタを食べようかとレーンを眺め、メニューをにらむ。人気ネタのサーモンを頼み、しょうゆをたっぷりつけて食べた後、口直しにガリ。横では子どもたちが大好きな卵焼きを食べている─。そんな当たり前の光景に大きな食のリスクが潜んでいると、ジャーナリストの郡司和夫さんは警鐘を鳴らす。
「まず、お茶が危ない。激安ずしのお茶は粉茶。普通の茶葉で入れる緑茶よりも、粉茶のほうが残留農薬を多く摂取することになります。緑茶に使われるネオニコチノイド農薬は、アメリカやフランスではすでに規制が始まっています。飲み続けると人間の脳や神経系に悪影響を与えるという検査結果もあります」(郡司さん、以下同)
次にサーモン。激安ずしでは本物の鮭はほぼ使われない。
「提供されるのはマスなどの代用魚。本物ではないので、元の魚肉は白色です。代用魚のエサに人工着色料を混ぜて食べさせ、サーモンらしい鮮やかなオレンジ色に変えているのです。エサには、養殖の際に感染症や病気にかからないよう、抗生物質が大量に添加されています」
養殖魚に蓄積された抗生物質は、それを食べる人間にも影響し、免疫機能を壊し、薬剤耐性菌を生む。さらに、
「激安ずしのしょうゆはしょうゆじゃないんです。本来、しょうゆとは、丸大豆、小麦、塩を原材料とし、1年以上かけて麹菌などで発酵・熟成させた発酵調味料。激安すし店で提供されるのは、しょうゆ風調味料です。豚のエサにする大豆の搾りかすにグルタミン酸ナトリウムでうまみを、ブドウ糖果糖液糖で甘味を、増粘多糖類を加えてコクを、カラメル色素で色を加えたもの。さらに腐敗を防ぐために安息香酸ナトリウムなどの保存料も加えたニセモノです」
と、油断ならない。
箸休めにぴったりのガリもアウト!
「激安すし店のガリは、ほぼ100%中国産。酸味料や保存料(ソルビン酸)、着色料、発色剤などがたっぷり添加されています。残留農薬量も厚生労働省の検査で毎年のように基準値をオーバーしている」
子どもウケ抜群のネタ、
「卵焼きもよくない。卵を液状にした液卵、あるいは粉末状の即席加工卵から作られている。粉末卵には膨張剤や分散剤などが添加されているし、液卵を作るのに使用される卵は大量すぎて、どこのどんな卵なのか不明。なのに“冷凍保存で2年間は品質保持可能”と、驚きの長さです」
着色された代用魚に大豆カスからできたしょうゆもどきをかけ、残留農薬たっぷりのお茶を飲む。2年前の卵で作ったかもしれない卵焼きを頬張り、添加物基準値オーバーのガリをつまむ。なんとも恐ろしい実態だが、それだけではないと郡司さんは言う。
「現在、養殖カンパチの稚魚は100%近くが中国からの輸入。これがどうやって育てられているか、まったく謎なのです。平成30年の水産庁の現地調査でも、その報告書にも不明と書かれている。どうやらニトロフラン誘導体という強力な殺菌剤を使っているようですが、これは日本では、昭和40年代に魚肉ソーセージに使用され、現在では禁止されているもの。いけすの中で大量に泳ぐ養殖魚は、カンパチに限らず抗生物質や殺菌剤まみれです」
回らない高級すし店ならともかく、激安すし店ではほとんどが養殖モノ。カンパチ以外にも、酸化防止剤に浸された甘エビ、発がん性のマラカイトグリーンが検出されたこともあるウナギも要注意。
「ネギトロ、イカ、ツナサラダ巻きなどの軍艦メニューも危険。東南アジア産で風味の薄い小型イカを殺菌、漂白した後、アミノ酸調味液に浸したイカ、マグロの切れ端やその他の魚をミンチにしてネギや植物油脂、調味料と混ぜたネギトロ。そのままでは食用に適さないものを、添加物を使って食品に仕立て上げている。ところが外食産業では、メニューに食品添加物を表示する義務がない。だからわれわれには何を食べているのか知る術がないのです」
激安ネタでもっとも危険な魚は何か?
「大人気のマグロです。海洋汚染物質、ダイオキシンとメチル水銀が蓄積され、特に養殖のトロが数値が高く危険。消費者はしっかりと目を開いて“安さにはリスクがあること”を知っておくべきです」