肝斑、シミ、ニキビが悪化?!
白斑被害は多くの女性に衝撃を与えたが、“肌の奥に働きかける”という惹句(じゃっく)で消費者をつかむ化粧品は今も多い。その1つが、マイクロニードルパッチ、刺す美容法だ。中でも、SNSで話題になっているファンデーションに警鐘を鳴らすのが、形成外科専門医・美容外科医・美容皮膚科医である上原恵理先生だ。
「この商品は、ファンデーションの中に0・02mmの天然針が3000本入っていると言いますが、その針が角質層を超えて肌の中に入れば、アレルギー反応等のリスクがあります。肌の表面にとどまることが前提の成分が肌に入り込むわけですからね。肌にある肝斑を刺激して悪化させることも起こりうる。そもそも皮膚はあらゆる刺激によって劣化するもの。こすったり、叩いたりするのは論外。刺激が皮膚の炎症を招き、防御反応としてシミができたり、皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊してハリを失わせたりします」(上原先生)
刺す美容法の効果や副作用についてデータが蓄積されていないことを指摘する医師もいる。日米での診療経験が豊富な皮膚科専門医の野田真史先生だ。
「微細な針であえて皮膚に炎症を起こし、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーを促す美容法は確かにあります。ただ、市販の刺す化粧品などが本当に浸透するか疑問がありますし、現在はデータがない。異物反応として、将来的に炎症やシミ、しこりなどの症状が出てこないとも言い切れません」(野田先生)
本来、身体の中にないものを入れるリスクを考える必要がある。例えば最近、ニキビ用のニードルパッチなども販売されているが、
「日本の病院ではニキビ治療が保険診療適用となります。ニキビ治療薬アダパレンゲルは3割負担で1本150円程度。一方、アメリカでは、保険診療適用ではないため、約20ドル(約2000円)で市販されています。アメリカで市販のニキビ治療薬などを自分で買って治療する背景には、そういう医療事情がある。また、サリチル酸やグリコール酸などが入ったニキビ肌用のピーリング剤がありますが、これも敏感肌の人は避けたほうがよい。都内在住であれば中学3年生までの子どもは医療費も無料。専門的な治療を受けるほうが安心でしょう」(野田先生)
医薬部外品のニキビ用洗顔料には、イソプロピルメチルフェノールが配合されていることがある。
「これは殺菌剤、防カビ剤として多くの化粧品に使われている成分ですが、逆にニキビを悪化させアレルギー症状を起こす危険も」(郡司さん)
【あの流行コスメを医師がジャッジ!】
●韓国コスメ
「プチプラでキャッチーですよね。私もコスメは使いますが、日韓で規制成分が異なりますので、大手メーカーが日本用に出している製品を選ぶのがベター」(上原先生)
●量販店のハトムギ化粧水
「ハトムギの皮をむいた種はヨクイニンとして古くから漢方で肌のために用いられてきました。塗っても害の少ない成分です」(野田先生)
●マイクロニードルパッチ、クリーム
「化粧品は薬機法で『角質層を超える』ことを謳ってはいけません。マイクロニードルが角質層を超えたら薬機法違反ですし、超えないなら効果は期待できない」(上原先生)
●オーガニック化粧品
「オーガニックの化粧品に対する統一された基準は欧米にはありますが、日本には存在しません。一体何でそれがオーガニック?というような製品も多々あるのが事実」(上原先生)