解熱鎮痛剤にはそれぞれリスクあり

解熱鎮痛剤のリスクに苦しむことも(※画像はイメージです)
解熱鎮痛剤のリスクに苦しむことも(※画像はイメージです)
【画像】解熱鎮痛剤に含まれている“要注意”な「成分」と「症状」

 では、ブロモバレリル尿素以外の成分なら安全なのか。

「いいえ、すべての痛み止めには基本的に依存性などのリスクがあります。まずは種類ごとの効果とリスクを正しく把握することが大切です」

 市販の解熱鎮痛剤は、大きく分けて2種類ある。1つ目は、頭痛、生理痛などの痛みや炎症を引き起こす物質を抑えるエヌセイズというタイプ。解熱や鎮痛の作用に加えて抗炎症作用があり、新型コロナワクチンの副反応を抑えるのにも適しているが、中~長期間服用を続けると胃腸障害や腎障害、血圧上昇、心臓への負担などのリスクも。

解熱鎮痛剤に含まれている「要注意な成分」
解熱鎮痛剤に含まれている「要注意な成分」

 また、使用しているうちに痛みに対して神経が敏感になり、弱い痛みでも強い痛みとして感じてしまうようになる「の使いすぎによる頭痛」を引き起こすこともあるという。

「私のクリニックでは、頭痛の原因の第3位がこの物乱用頭痛です。また、エヌセイズをのむ際に最も注意してほしいのがインフルエンザの場合です。インフルエンザで脳炎や脳症に進行した際にエヌセイズを服用すると、脳の血管を傷つけるおそれがあり、最悪の場合、帰らぬ人になるケースも。特に15歳未満の場合はインフルエンザ脳炎・脳症に移行しやすいので注意が必要です」

 解熱鎮痛剤は、発熱や痛みの原因によって服用する種類を見極める必要があるのだ。エヌセイズというタイプのには、箱などにアスピリンやイブプロフェンといった有効成分が記されている(左の表の一番上のグループがエヌセイズ)。代表的な市販としては『バファリンA』、『イブ』、『ノーシン』、『セデス・ハイ』などがある。

週2日、月10日以上は危険!

「解熱鎮痛剤の2つ目のタイプは、脳に働きかけて解熱と鎮痛に効果をもたらすアセトアミノフェンという成分が入ったもの。胃腸や腎臓への副作用も少なく、エヌセイズよりも安全といわれています。とはいえ物乱用頭痛は起こりますので、日常的な服用は避けるべき。またエヌセイズのような抗炎症作用はないため、新型コロナワクチンの副反応を抑える効果はエヌセイズより低い可能性があります」

 アセトアミノフェンが入っている市販には『タイレノール』、『バファリンルナJ』、『ラックル』などがある。

 ワクチンの副反応に備えて解熱鎮痛剤を購入し、余りがいまも自宅にあるという人は、今後の服用に備えて、ぜひ一度パッケージの成分表示を確認してみてほしい。

「今後、熱や痛みが出て服用する場合は、エヌセイズ、アセトアミノフェンどちらのタイプでも、週に2日まで、1か月で考えるなら10日までにしてください。それ以上になると依存症になる危険性が非常に高くなりますので、必要なら必ず医師に相談してください」

教えてくれた人は……谷口恭先生
●太融寺町谷口医院院長。大阪市立大学医学部総合診療センター非常勤講師。大阪市立大学医学部総合診療センターに所属後、太融寺町谷口医院を開院。タイのエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA代表。

<取材・文/井上真規子>